アクセンチュアは5月24日、2021年に企業が押さえるべきテクノロジートレンドの調査レポート「Technology Vision 2021」について説明会を開催した。同調査は、日本を含む31カ国における6200人以上の企業幹部を対象に実施。その結果、同社は5つのトレンドを定義した。
説明会に登壇したテクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏は「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の流行により、ビジネスや生活様式で長らく常識とされてきたことの課題が露呈した。企業は、変わっていく現実に素早く対応できる“変化の達人”となることが求められる」と語った。
アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏（出典：アクセンチュア）
その上で、山根氏は変化の達人になるための3ステップを説明した。1つ目は、投資するテクノロジーを見極めて地盤を固める「基盤の要塞（ようさい）化」（Fortify）。2つ目は、利用するテクノロジーの特性と業界独自の専門性を組み合わせることで、利益を生み出す「戦略の拡張」（Extend）。3つ目は、新たな顧客やパートナー企業、未来を創造する「未来の再発明」（Reinvent）だという。今回の5つのトレンドは、この3ステップを基に解説された。
トレンドの1つ目は、「テクノロジーの戦略的集積」。テクノロジーが企業の未来を左右する一方、約6割の企業が「テクノロジー戦略と自社の目標は必ずしも一致していない」と回答したという。この課題に対しFortifyの段階では、クラウド化やマイクロサービス化を進め、適応性の高い技術基盤を固める。Extendでは、技術と事業の戦略を同期させ、競争優位を獲得する。Reinventでは、既存の発想にとらわれないテクノロジーの活用方法を模索し、新たなデジタル体験を発明する。
2つ目は「ミラーワールド」。ミラーワールドとは、仮想空間に物理空間の環境を再現し、検証を行う「デジタルツイン」をつなぐ世界。例えば近年、工場などでデジタルツインの技術が用いられているが、現実世界の構成要素には天候や交通情報などもある。ミラーワールドでは、現実世界を構成する全ての要素をデジタルツインの対象とし、現実世界を再現する。
ミラーワールドの推進においてFortifyでは、強固なデータ基盤を築き、予測結果の信頼性を高める。Extendでは、ノーリスクなシミュレーションを繰り返す。Reinventでは、ミラーワールドを変革の中枢に据える。ミラーワールドでは、自社単体で発揮できる影響力は限られているため、パートナー企業との連携が必要だという。
