倉橋氏は「1人あたりの生産性の向上はこれまでのソリューションで提供してきた。(国内には)シニア層や専業主婦、学生など約1000万人の労働力が隠されている。彼らが働こうという意欲を持てる環境を作り上げる取り組みが必要だ。今後、ワクチンが普及して経済活動が再開したら各種課題が顕在化する」と述べ、“働きたいと思う環境の整備”に注力することを表明した。
具体的な取り組みとなるのが、既存機能である「ラクラク分析レポート」「従業員サーベイ」の強化だ。
ラクラク分析レポートは蓄積した人事データをもとに、各種チャートで集計と可視化を実現する機能である。社員の採用や異動時の配置計画など、多様な場面で利用できると強調した。
従業員サーベイは社員にアンケートを配信し、現場の課題を経営判断などに生かすための機能。倉橋氏は「ペーパーレスで蓄積した人事データを活用して、人材管理領域に注力する」と説明する。同社の顧客企業であるウェルカム(目黒区)はラクラク分析レポートで、アルバイトの定着状況を分析し、人事労務業務の効率化とデータを活用した労働環境の改善に成功したという。
SmartHRが今後注力する人事データの活用機能
今回の資金調達に関してSmartHRは、シリーズC直後の2019年から幅広い投資家とのコミュニケーションを開始し、2020年にはIRチームの設置や本格的な投資家開拓、継続的なコミュニケーションを実施。シリーズDに至った2021年までに約230件のIRミーティングを行ってきた。
SmartHR 取締役 最高財務責任者(CFO) 玉木諒氏は「海外(の上場企業・未上場企業を区別しない)クロスオーバー投資家の、国内スタートアップへの関心は高まっているように感じる。われわれのようにレイターステージ(安定した成長と収益化を実現された段階)のスタートアップこそ、IR組織を作り、チームで投資家との関係に注力すべきだ」と述べ、増加傾向にある飲食業や小売業の顧客から知見を生かしつつ、他業種への横展開で顧客基盤を獲得することを表明した。
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