社会保険や雇用保険など労務関係の手続きを支援するクラウドアプリケーション「SmartHR」を開発、提供するSmartHRは6月8日、シリーズD(シードから数えて6回目の資金調達ラウンド)で約156億円の資金調達を終えたことを公表した。累計調達額は約238億円に達する。
既存投資家であるLight Street Capital、THE FUND、Sequoia Heritageの3社に加えて、Sequoia Capital Global Equities、Arena Holdings、Greyhound Capital、Whale Rock Capital Management、他1社の合計8社から資金調達を実施した。
(左から)代表取締役 CEO 宮田昇始氏、取締役 CFO 玉木諒氏、取締役 COO 倉橋隆文氏
SmartHR 代表取締役 最高経営責任者(CEO) 宮田昇始(みやたしょうじ)氏は「ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)は45億円、2012年第2四半期時点のYoY(Year over Year:前年比)は106.2%。99.6%以上が継続利用し、ServiceNowとShopifyの中間にあたる」と成長率を誇り、政府のデジタル化政策に即して、今後も人事労務に関する手続きの効率化に突き進むことを表明した。
働こうという意欲を持てる環境を
各メディアや調査企業が発信しているように、日本の労働力人口と労働力率の減少は避けて通れない。そのため少人数で同様の結果を生み出す“働き方改革”や業務効率化の焦点があたり、各企業は自社の不要な工程解消をITに求めている。
現状についてSmartHR 取締役 最高執行責任者(COO) 倉橋隆文氏は「『1人あたりの生産性向上』と『働きたいと思う環境の整備』は国の課題であると同時に企業の課題でもある」と論じた。みずほ総合研究所の調査結果を引用して、倉橋氏はコロナ禍以前から「『働きたいと思う環境の整備』の必要性は顕在化していた」と語る。
デロイトトーマツが2019年10~12月に行った調査結果によれば、「働きたいと思う環境の整備」に必要な要素としてトップ3にランクインしたのは、「従業員満足度の向上・リテンション」(88%)、「多様な人材の維持獲得、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)促進」(67%)、「採用競争力強化」(50%)だった。