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Sapphire Now

SAP共同創業者が語った、新たなビジネスプロセスとクラウド

末岡洋子

2021-06-10 06:00

 約50年前にSAPを共同創業したのが、Hasso Plattner氏だ。経営の第一線こそ退いているものの、「SAP HANA」の開発やデザインシンキングの取り込みなど、今でもSAPの方向性に大きな影響を与える人物である。

SAP共同創業者のHasso Plattner氏
SAP共同創業者のHasso Plattner氏

 Plattner氏が6月初旬にオンラインで開催された「 SAPPHIRE NOW 2021」に登場し、エグゼクティブボードメンバーとして2021年にSAPに加わった最高マーケティング・ソリューション責任者のJulia White氏と対談した。テーマは、SAPの本領である「ビジネスプロセス」。クラウド時代にビジネスプロセスマネジメントはどのように進化するのか。

「Signavio」でビジネスプロセスモデリングはどう変わる?

 White氏は、ビジネスプロセスインテリジェンス(BPI)について尋ねた。するとPlattner氏は、SAP R/3にまでさかのぼり、複数の大学教授による理論の実践をはじめとした試行錯誤の歴史を語った。近いところでは、「SAP Business ByDesign」をスクラッチから構築する時に、ザールランド大学のAugust-Wilhelm Scheer教授(IDS Scheerの創業者)と、イベント駆動型のプロセスチェーンのモデリングテクニックを使って、完全にリモデルしたという。

 しかし、意思決定では役に立ったが、システムが実際に稼働に入ると、役に立たなかったそうだ。「(モデルは)単なるプレゼン、あるいはドキュメンテーションに過ぎなかった。これをアクティブにすることはできなかった」とPlattner氏は振り返る。

 だが、ここにきてモデルの開発が大きく変化しているという。「SAP S/4 HANAにもモデルがある。ここにQualtricsを使ってユーザーの感情や印象、ネガティブなコメントを得て、それを消化するという、アクティブなインプットコンポーネントが加わる」とPlattner氏。1月にはSignavioの買収を発表し、プロセスマイニングツールを手に入れた。

「アクティブなモデルを持つことができる。データストリームからモデルを開発できるが、これはシステムで何が起こっているのかというリアルなモデルだ。そして、(Qualtricsを使って)ユーザーからのフィードバックを得ることができる。これまでとは違う世界になる」(Plattner氏)

 デモンストレーションでは、太陽光発電パネルを販売する企業が、パネルの配達とパネルの設置サービスの連携を改良して顧客満足度と従業員の満足度を改善し、さらにはサービス企業としての道筋を得て、ビジネストランスフォーメーションを進めるというシナリオを見せた。

 具体的には、Qualtricsから得た顧客の声と従業員の声から、太陽光発電パネルが配達される前にパネル設置サービスが来るなど、配達とサービスがバラバラであることが顧客の不満になっていることが分かる。プロセスのフローから営業、配達、請求までの全体像を見て、注文のキャンセル率が業界平均より高いことを確認する。営業ドキュメントに多数の変更が加わっていることから、Signavioにデータを読み込ませ、プロセスマイニングを行う。根本原因として、太陽光発電パネルとサービスの組み合わせのオーダーがキャンセル率が高いことが分かり、シミュレーションをしながら改善する。その過程で、SAP Process Insightのビジネスプロセス分析、改善のためのレコメンデーションなどの機能も披露した。またSignavioを使って、改善案のプロセスモデルを比較するなどのことも行なった。

 最終的には、解決策として営業とサービスの注文を同期するボットを、「SAP Intelligent Robotic Process Automation」と「SAP Workflow Management」を組み合わせて構築する。配達日に変更があればサービスチームに通知するフローなどを加えて、連携における問題を解消――というものだ。

2021年後半に一般提供を予定する「SAP Process Insights」のLead to Cashのダッシュボード。売り上げ、時間通りの配達などのオペレーションデータ、ネットプロモータースコア、顧客、従業員の声などの体験データが分かる
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発注後のキャンセル率を業界のベンチマークと比較
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現状のプロセスと、提案された「SAP S/4 HANA Solution Order Management」のプロセスを比較
現状のプロセスと、提案された「SAP S/4 HANA Solution Order Management」のプロセスを比較
「プロセスマネジメントの次のレベル」として、静的なモデルに実際の実行データ(青線)を重ねた
「プロセスマネジメントの次のレベル」として、静的なモデルに実際の実行データ(青線)を重ねた

 デモの後でPlattner氏は、「モデルを使いながらシステムが自動的にモデルを構築できる」「モデルをモニタリングできる」――2点を高く評価した。また、Qualtricsを使うことで、ユーザー、顧客のフィードバックがすぐに得られる点も高く評価した。

 「1970年代、80年代は、顧客の承諾を得て、実際に使っているユーザーの後ろに立たせてもらって反応を見るしかなかった。(Qualtricsにより)世界中の顧客のフィードバックを自動的に得られるようになった」とPlattner氏は、喜んだ。

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