海外コメンタリー

CIO着任最初の100日で取り組むべきこととは

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-06-29 06:30

 最近になって段ボール包装サービス企業であるDS Smithのグループ最高情報責任者(CIO)に就任したClaire Dickson氏は、インタビューのビデオチャット中にカメラを回して、筆者にデスクの後ろの壁を見せてくれた。その壁は、Dickson氏が進めているさまざまな取り組みのメモが書かれたカラフルな付箋紙で覆われていた。

 「私は最初の100日間のプロセスを総合的に進めている」と話すDickson氏は、CIOになってからの最初の数カ月間を、同僚とのあいさつやミーティング、IT部門が抱える課題の規模の評価、向こう5年間のデジタルビジネス戦略の立案などに費やそうとしている。

 IT担当役員に就任してから最初に行うプロセスの重要性を理解しているのは、Dickson氏だけではない。例えばGartnerは、「The CIO's First 100 Days」(CIOの最初の100日間)と名付けられたツールキットを用意している。この資料では、新たに任命されたIT担当役員にとって重要な問題やフレームワーク、意思決定を扱っている。

Dickson
Dickson氏は、「私は最初の100日間のプロセスを総合的に進めている」と話す
提供:DS Smith

 Gartnerは、CIOが周囲に自分は信頼できると思わせ、信用を獲得するためのチャンスは1度しかないと述べている。この主張は、DS SmithのCIOになってから1カ月目のDickson氏の考えとも一致する。同氏は、IT担当役員が成功するための鍵は単純なことだと話す。多くの人の意見に耳を傾けること、そしてデータに基づいて戦略的な決断を下すことだ。

 Dickson氏によれば、新たにIT担当役員になる人々は、誰でも前職での経験で得た道具やアイデアを持っているものだという。同氏の場合は、英石油大手BPのダウンストリームオペレーションのCIOを務めた経験がそれにあたる。しかし同氏は、過去の経験や自分が好むアプローチに頼りすぎるべきではないと話し、DS Smithでの最初の1カ月間は、新たなアプローチを受け入れることの重要性を思い知らせてくれたと語った。

 同氏は米ZDNetに対し、「重要なのは、とにかく現在の状況を把握し、ほかの企業が行っていることをベンチマークとして、自分たちの現在地を確認することだ」と話した。

 Dickson氏は重要なデータセットのリストを作った。このリストには、既存のIT資産ポートフォリオの状況や、顧客向けのサービスとサプライチェーンシステムの費用の比較、デジタル化プロジェクトやデータプロジェクトと中核的なITインフラに対する投資の比較まで、あらゆる項目が網羅されている。

 「私はできる限りデータに基づいて行動しようとしており、手に入るあらゆるデータを掘り起こしている」と同氏は言う。「しかし私は、それと同時に、よく周囲の話を聞いて以前いた会社とこの会社のどこが違うのかをよく理解し、ただ同じことを繰り返すだけにならないようにすることが重要だと思っている」

 Dickson氏は、DS Smithに来てからの最初の2週間、関係者とのミーティングに明け暮れた。コロナ禍の影響で対面で話ができなくなっているため、これはそれほど簡単なことではないが、同氏はその作業はスムーズに進み、成功に終わったと話す。同氏はまた、自分のチームとじっくり話をし、ITがどう利用されており、どこにもっと成果を出せる余地があるかを把握することにも時間を費やした。

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