本連載では、クラウドプラットフォーム「kintone」のさまざまな活用方法を紹介してきました。データの管理だけでなく、連携サービスと組み合わせれば問い合わせフォームや情報公開にも活用できる、万能ツールに見えますよね?
もちろん、万能ツールとして活用することもできると思います。そういったイメージがkintoneにある方もいるでしょう。ただ、できないこともたくさんありますし、できたとしてもコストに見合わないケースもあります。
本当にkintoneでやるべきことなのか? kintoneに無理はさせていませんか?
kintoneでやるべきこと?
- kintoneでできること
- kintoneでできないこと
この見極めには、kintoneの機能を理解することが大切です。
機能や制限を理解しておく
kintoneは良いツールです。汎用性が高く、現場に沿った業務アプリを作成できます。しかし、汎用性が高くても万能ではありません。
- 1つにファイルにつき添付できる容量の上限は1GB
- 1つのアプリに利用できるプラグインは20個まで
- 1つのアプリに配置できるフィールドは基本500個
制限値を把握しないまま、制限値を超える要望があるアプリを作ってしまうと、業務では利用できないアプリとなります。
例えば、1日に1万を超えるAPI連携が必要なアプリ運用が必要だとしましょう。しかし、kintoneが1日に実行できるAPIリクエスト数は、1つのアプリにつき1万件です。
1万件を超えた時点で即座にAPI連携ができなくなるわけではありませんが、警告が表示され、現場の混乱や不安につながります。1万件を超える運用が必要な場合は、サイボウズへの問い合わせが必要となります。
このようなkintoneの機能を知るには、公式の資料や動画、制限値一覧といったサイボウズからの情報発信に加え、サイボウズ公認「kintoneエバンジェリスト」からの発信や、kintoneユーザー向けのオンラインコミュニティーサイト「キンコミ」でユーザーが発信する情報なども活用できます。
連携サービスやプラグインを理解しておく
- kintoneからメールを送りたい
- kintoneからファクスを送付したい
- kintoneで電話したい
- kintoneでECサイトを作りたい
- kintoneで電子契約書を発行したい
上記に書いたことは、kintoneをカスタマイズしたり連携サービスを利用したりすることで実現可能です。kintoneのウェブサイトや、デベロッパー向けのオンラインコミュニティーサイト「cybozu developer network」などが参考になるでしょう。
実現したとしても、コストパフォーマンスはどうだろう?
kintoneで実現できたとして、コストはどの程度かかるでしょうか?
- kintoneアプリ作成にかかった時間
- カスタマイズや連携サービスを利用した場合の費用
- アプリの使用方法を教える時間
実現できるからといって、全て実装することが正解とは限りません。複雑なカスタマイズを必要とする場合、軽微な修正にも時間がかかり、結果としてkintoneの良さを失う可能性があります。かかる時間などを考えた場合、kintoneに置き換える必要がないケースも多々あります。
筆者自身コストではないと思っていますが、業務である以上コストを意識しなければいけないことの方が多いと思います。アプリにかかるコスト以上に業務で活用できる根拠は何でしょう? アプリを作るだけではなく、導入するということを意識しましょう。
筆者自身ユーザーであり、サイボウズパートナーでもあります。よくkintone導入の相談を受けるのですが、「その業務をkintoneで実現できたとしても、メリットを感じることは少ないかもしれない」とお伝えし、kintone前提ではなく、専用のツールやシステムとの比較をお勧めすることがあります。
何を実現したいのか、その実現にはどういった機能が必要なのか。その機能を業務に特化したツールでは実現できないのか。コストを比較した際、双方にどのようなメリット、デメリットがあるのか。
メリットが大きい可能性が高いよくあるケースとしては、「業種に特化したツールの導入を検討しているが、不要な機能が多いと感じる。コストを考えるともう少し機能を絞ったツールが欲しい」などがあります。こう言った場合、その一部の機能をkintoneで再現することができるかもしれません。