ランサムウェア対策の「No More Ransom」が5周年、被害抑止に貢献

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-07-27 13:42

 ランサムウェア対策を手掛ける「No More Ransom」プロジェクトが提供する無料の復号ツールにより、ランサムウェア犯罪グループに10億ユーロ(約1300億円)以上の身代金が支払われるのを防ぐことができた

 このプロジェクトは2016年に、欧州刑事警察機構(ユーロポール)、オランダ国家警察、Kaspersky、McAfee(当時はIntel Security)が立ち上げた。現在、法執行機関、サイバーセキュリティー企業、学術機関など、170のパートナーが参加するまでに成長している。

 No More Ransomのポータルでは、ランサムウェアの復号ツール121種類を無料で提供しており、151種類のランサムウェアファミリーに対応している。これまでに、無料で暗号化されたファイルの復号を手助けした人は600万人を超えた。これらのランサムウェア被害者は、身代金を脅し取ろうとするサイバー犯罪者の要求に屈しないで済んだ。

 このポータルは37言語で提供されており、世界中の人がランサムウェア攻撃に対抗するために利用している。サイトの「Crypto Sheriff」は、ユーザーが暗号化されたファイルをアップロードして、感染したランサムウェアの種類を特定できるようにしている。利用できる無料の復号ツールがあれば、ダウンロードできるリンクを提示する。

 これまでに、被害者が約10億ユーロの身代金を支払うのを防いでおり、サイバー犯罪者がこうしたキャンペーンで利益を上げることができないようにしている。

 No More Ransomのウェブサイトは5周年を記念して、より使いやすく刷新され、ランサムウェアの最新情報や、感染を防ぐためのアドバイスが一般ユーザーとビジネスユーザーの両方に提供されている。ユーロポールが指摘するように、「個人もあらゆる規模の企業も、誰もが標的になり得る」からだ。

 アドバイスには、定期的にデータのバックアップを取る、セキュリティソフトウェアとオペレーティングシステムを最新の状態にする、企業ネットワークやリモートデスクトッププロトコル(RDP)サービスを多要素認証で保護することなどが含まれる。

 また、ランサムウェア攻撃によって業務の中断を強いられても、被害者は身代金の要求に応じないことを推奨している。犯罪者が正当な復号ツールを提供するという保証がないばかりか、支払うことによってランサムウェアの効力を示すことになり、さらなる攻撃を助長するからだ。

 「身代金を支払うと、ランサムウェアは効果があると、サイバー犯罪者に証明することになる。その結果、犯罪者は活動を継続して、システムを悪用する新たな方法を探し、ひいては感染の拡大と、攻撃者の利益増加を招くだろう」(No More Ransom)

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    KADOKAWAらの事例に学ぶ、2024年サイバー攻撃の傾向と対策

  2. セキュリティ

    MDMのよくある“12の悩み”を解決!Apple製品のMDMに「Jamf」を選ぶべき理由を教えます

  3. ビジネスアプリケーション

    生成AIをビジネスにどう活かす?基礎理解から活用事例までを網羅した実践ガイド

  4. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  5. セキュリティ

    「100人100通りの働き方」を目指すサイボウズが、従業員選択制のもとでMacを導入する真の価値

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]