最先端のセンサーやシステムの技術開発がIoTの活用範囲を拡大
以上が発表の概要だが、今回この新システムを取り上げたのは、こうした最先端のセンサーやシステムの技術開発がIoTの活用範囲を広げる上で欠かせないからだ。
竹中工務店が発表の最後に、「収集したビッグデータを用いた新しい設備制御の在り方を創出し、さらなる省エネルギー性、快適性、知的生産性の向上に活用していく」と述べているが、これが社会にもたらすポテンシャルは非常に大きいものがあると考える、
もう少し、新システムの特徴を整理しておくと、次の4つが挙げられる。
1つ目は、「効率的に計測できること」だ。センサーの電池レス化が可能な無線式センシングシステムで、電波の範囲内であれば基本的にどこでもセンシングができる。また、RFIDタグの複数同時読み取りや、移動しているRFIDタグの読み取りも可能だ。さらに、RFIDタグと複数のセンサーを組み合わせたマルチセンサー対応も可能としている。
2つ目は、「維持管理が容易なこと」だ。電波を電気エネルギーに変換し作動するので電池交換が不要となっている。3つ目は、「電波干渉を抑制できること」だ。1台ずつアンテナを起動させるので電波干渉を抑制することができる。4つ目は、「拡張性が高いこと」だ。アンテナはデータの送信にも受信にも使用でき、システム拡張が容易となっている。
さらに、筆者が注目したのは、新システムの実現に向けて異業種4社が協業したことだ。聞くところによると、竹中工務店がRFIDによる室内環境センシングシステムの立案、設計と実施、日本IBMがRFIDシステムの構築、マスプロ電工が「セミパッシブ方式」と呼ばれる環境センサー、NTTコミュニケーションズが通信ネットワークとデータ処理システムの構築をそれぞれ担当したという。
こうしたIoT分野における最先端のセンサーやそれを活用する技術は、今回のような異業種連携から今後もどんどん創出されるだろう。加えて、この分野はきめ細かい技術を得意とする日本が世界へと広げていける可能性も十分にある。そうした観点でも今後の動向に注目していきたい。