オラクル、MySQLのインメモリーサービスに運用自動化機能を追加

國谷武史 (編集部)

2021-08-11 14:10

 米Oracleは、同社クラウドサービスのOracle Cloud Infrastructureで提供しているMySQL Database Serviceのインメモリークエリー高速化機能「MySQL HeatWave」において、この運用を自動化する「MySQL Autopilot」コンポーネントの無償提供を開始した。

 MySQL HeatWaveは、2020年12月から提供しており、アプリケーション改修やETL(データの抽出、変換、格納)ツール利用が不要ながら、トランザクション処理と分析処理の双方を高速する機能になる。MySQL Database Serviceの利用規模の拡大に伴う処理能力の不足や調整の手間といったユーザーの課題に対処するもので、今回のMySQL AutopilotはMySQL HeatWaveの使い勝手を高める目的で提供されるという。

「MySQL HeatWave」の概要
「MySQL HeatWave」の概要

 MySQL Autopilotは、機械学習技術でMySQL HeatWaveの運用自動化を支援する。まずはクエリー実行計画機能などが自動化されるほか、MySQL HeatWaveを利用する際の最適な設定値などを提案する。将来的にチューニングなども自動化される。主要機能は下記の9つになる。

  • 自動プロビジョニング:ワークロードの実行に必要なHeatWaveのノード数を予測
  • 自動並列ロード:HeatWaveにロードされる各テーブルの最適な並列度を予測
  • 自動データ配置:メモリーのテーブルパーティショニングにおける最適な列を予測
  • 自動エンコーディング:クエリーを考慮し、HeatWaveHeatWaveに読み込まれるカラムの最適な格納方式を決定
  • 自動クエリー計画改善:クエリー実行から各種統計情報を学習し、以後のクエリー実行計画を改善
  • 自動クエリー時間予測:クエリー実行時間を事前に予測
  • 自動変更伝播:MySQL Database内の変更を、HeatWaveスケールアウトデータ管理レイヤーに伝播する最適なタイミングを決定
  • 自動スケジューリング:キュー内の実行時間が短いクエリーを特定し、実行時間が長いクエリーに優先させることで全体的な待ち時間を短縮
  • 自動エラーリカバリー:障害で1つ以上のHeatWaveノードが応答しない場合に、新規ノードをプロビジョニングして必要データを再ロード
「MySQL Autopilot」の概要
「MySQL Autopilot」の概要

 MySQL Autopilotについて同社は、クラウドサービスプロバイダーの立場で蓄積したノウハウに基づく最適な使い方を提案できること、精度向上に直結する機械学習ができること、ユーザーに提案する最適化設定の理由を説明できることが特徴だとする。

 また同社は、MySQL HeatWaveにおいてインメモリーでのパーティションをオブジェクトストレージにも展開することにおり、データの再読込み時間を大幅に短縮するという「MySQL Scale out Data Management」機能も併せて発表した。利用再開時に要する時間が短くなるほか、インメモリーおよびオブジェクトストレージ間のネットワークを含むデータの暗号化も行い、利便性と安全性の両立を図ったとする。

「MySQL Scale out Data Management」の概要
「MySQL Scale out Data Management」の概要

 同社によれば、MySQL HeatWaveのユーザーは多様な業界の企業だが、広告・コンテンツ配信ビジネスでの分析や、メーカーでの製造および物流の状況分析、金融での匿名顧客行動分析などさまざまなユースケースがある。今回の新機能は、これらの用途の利便性を改善させるものになるとしている。

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