Amazon Web Services(AWS)は、ストレージ、データベース、アナリティクスワークフローの間のデータ移動を容易にすることが、ほかのプロバイダーで実行されているワークロードを奪うための鍵になると考えている。

AWSは「re:Invent」でストレージやデータベースに関するさまざまな最新情報を発表したが、その中には「AWS Glue Elastic Views」(プレビュー)と呼ばれるサービスがあった。このサービスによって、複数のデータストアのデータを自動的に組み合わせ、複製したマテリアライズドビューを簡単に構築できるようになる。複数のデータベースやアナリティクスのデータストアを管理し、コピー先のデータベースでデータを最新の状態に保つことができるという。AWSの最高経営責任者(CEO)Andy Jassy氏は、「データストア間でデータを移動させられるようになることは画期的だ」と述べた。
同社はさらに、一連のデータベース移行ツールも発表している。
Jassy氏は、「顧客はプロプライエタリなデータベースからの移行を望んでいる。今やあらゆるデータベースが再発明されているところだ」と語った。「持っているデータの量がギガバイト単位やテラバイト単位であれば、リレーショナルデータベースでもなんとかなる。しかし、ペタバイトやエクサバイトになると複雑すぎる」
Jassy氏はまた、アナリティクスのデータストアもシンプル化されるべきだと話す。「顧客はこれらの専用に構築されたアナリティクス用データストアも利用したいはずだ」と同氏は言う。
つまりAWSのJassy氏は、これらの専用の目的で作られたデータベースの活用やデータの自由な移動は、Oracleのような以前から力を持っている企業や、Microsoftのようなライバル企業と戦うための武器になると考えているわけだ。その最終的な目標は明らかだ。AWSがデータベースやアナリティクスのワークロードを増やせば増やすほど、機械学習やモデルのトレーニングなども用いてバリューチェーンの価値を上昇させることができる。
同社が、AWS上のデータストアなどから機械学習用にデータを準備するサービスである「SageMaker Data Wrangler」を発表したのもその一環だ。
同社が発表したストレージやデータベース関連の内容には、次のようなものがあった。
- 異なるデータストアのデータを連結して複製するAWS Glue Elastic Views。
- 「Aurora Serverless v2」。データベースのワークロードを数十万トランザクションの規模まで1秒未満でスケールする能力を持ち、キャパシティのプロビジョニングにかかるコストを大幅に圧縮できる。現時点ではMySQL 5.7でプレビュー版を利用できる。
- 「SQL Server」のアプリケーションを「Aurora PostgreSQL」で利用できるようにする「Babelfish for Aurora PostgreSQL」。Babelfish for Aurora PostgreSQLでは、SQL Serverで利用される独自の言語(T-SQL)とSQL Serverの通信プロトコルを使用することができる。
- より高速、低遅延のストレージエリアネットワークを提供する「Amazon Elastic Block Store」の新しいボリュームタイプ、「io2 Block Express」がプレビューリリースされた。AWSによれば、io2 Block Expressを利用すれば、「SAP HANA」「Microsoft SQL Server」「Oracle」「Apache Cassandra」のワークロードのパフォーマンスを改善できるという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。