18カ月間にわたるコロナ禍は、クラウドへの移行や人工知能(AI)を使用したアプリケーションの導入など、ITに関するあらゆる取り組みを加速させた。しかし企業は、持続可能性に関する取り組みを忘れてしまったわけではない。最新の調査によれば、企業のIT担当役員はむしろ、この1年間で持続可能性に関する取り組みを重視するようになったようだ。
世界のITに関する意思決定者2000人を対象として実施された調査によれば、回答者の27%は、過去1年以内に持続可能性に関する取り組みを開始したか、加速させていた。一方で、持続可能性に関する取り組みを延期または中止した回答者はわずか14%だった。
社会生活がコロナ禍によって一変しており、回答者の55%が、1年以内に少なくとも1件のITプロジェクトを延期または中止したと答えていることを考えれば、持続可能性に対する関心が高まっていることは注目に値するといえるだろう。その中には、自動化やデジタル顧客体験などの分野における中核的な取り組みも含まれている。
この調査は、Google CloudがIDGに委託して実施したものだ。Google Cloudの製品およびソリューションの持続可能性に関する責任者であるChris Talbott氏は、米国時間8月10日に行われた座談会の中で、調査の目的は「顧客が持続可能性に関して進めている取り組みについて明確に把握するため」だったと述べた。
Talbott氏は、「私は持続可能性や、特にGoogle Cloudがその問題についてどのように支援できるかについて、何百という企業と彼らが直面している課題について話し合う機会を持った」と語った。「そうした会話は最近になって加速している」という。
今回の調査では、企業のIT部門の圧倒的多数(90%)が持続可能性を優先事項として捉えていることが明らかになった。また、回答者の所属組織の3分の2が持続可能性に関する目標を導入しており、29%はその目標を実現するための計画を準備していた。
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また75%もの回答者が、クラウドプロバイダーを選定する際の検討項目として、持続可能性は「必須」あるいは「重要」な検討事項だと述べていた。
会社の内外のさまざまな要因が圧力として働いていることで、IT担当役員の持続可能性に対する優先順位が上がっている。回答者の半数以上は、持続可能性を重視している理由として「企業としての社会的責任」を挙げており、「環境規制」と「気候変動の影響」がそれに続いた。
Etsyの影響および持続可能性担当ディレクターであるChelsea Mozen氏は、Etsyのエンジニア、投資家、ユーザーのすべてが、同社の持続可能性に関する取り組みを評価していることが分かったと述べた。
Etsyは、カーボンオフセット配送の取り組みを開始した後に実施したA/Bテストで、顧客がこの問題に関心を持っていることを示す知見を得たという。Mozen氏は、10日の座談会で、ショッピングカートにカーボンオフセット配送が可能であることを示すシグナルを表示すると、実際に顧客転換率が上昇したことを明らかにした。
一方で従業員も持続可能性に関して「ますます大きな声を上げるようになっている」という。これを受けてEtsyでは、開発者が、クラウドで提供する製品やサービス、機能のリリースや、その他の技術的な意思決定を行った場合のエネルギーに対する影響をリアルタイムで可視化できるツールを開発している。
Mozen氏は、持続可能性は「私たちがエンジニアリング部門から常に質問を受けている分野の1つだ」と語った。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。