インテル、米国防総省と契約--米国内のチップ製造エコシステム強化へ

Daphne Leprince-Ringuet (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-08-25 13:57

 Intelは米国時間8月23日、米国防総省(DoD)の重要システムで必要とされるコンピューターチップを米国内で設計、製造するための契約を同省と締結したと発表した。半導体の製造に関して米国の能力を強化するために進められている取り組みの一環となる。

 今回の契約は、世界的な半導体不足が続く中で締結された。コンシューマー向けの電子機器製造から自動車製造まで、さまざまな業界が製品の製造に必要な中核部品の確保に苦戦している。

 この契約は、National Security Technology Accelerator(NSTXL)が立ち上げた「RAMP-C」(Rapid Assured Microelectronics Prototypes - Commercial)プログラムの第1段階の一部であり、米国をベースにした商用の半導体製造施設(ファウンドリー)のエコシステムを作り上げるという目的を有している。

 RAMP-Cは、DoDが重要な半導体技術に確実にアクセスできるようにするとともに、サプライチェーン全体のセキュリティを強化することで、チップの設計と製造、パッケージ化の最先端技術で米国の優位性を維持できるようにしていく。

 Intelは、半導体の設計と製造の双方を手掛ける唯一無二の米国企業であるため、RAMP-Cの取り組みで理にかなった選択といえる。同社が2021年に入って立ち上げたファウンドリー専門の事業であるIntel Foundry ServicesがDoDとともに取り組みを主導していくことになる。

 Intelの最高経営責任者(CEO)Pat Gelsinger氏は、「Intelはロジック半導体の設計と製造の両方をテクノロジーの最先端で行っている唯一の米国企業だ」とし、「私たちが2021年に入ってIntel Foundry Servicesを立ち上げた際、私たちの能力を、米国政府を含む広範なパートナーに提供できる機会があることを光栄に思った。RAMP-Cのようなプログラムを通して、そのような可能性を十分に発揮できれば素晴らしい」とコメントした。

 カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くIntel Foundry Servicesは、米国内に堅牢な半導体エコシステムを構築することを最終目的として、IBMやCadence、Synopsysといった業界のリーダー企業と提携し、カスタム化された集積回路や商用製品に対するDoDのニーズに応えていくとしている。

 コンピューターチップのサプライチェーンは現在、脆弱な状態にある。このことは、国家安全保障の中心となるDoDのような組織にとってセキュリティリスクとなりかねない。RAMP-Cが立ち上げられた背景がここにある。

 企業はこれまで、独自の半導体を設計し、サードパーティーのファウンドリーに製造を委託することを選択してきた。しかし、半導体の製造プロセスが持つ複雑さゆえに市場の企業再編が急速に進み、世界におけるコンピューターチップ受注のほとんどがファウンドリー企業数社に集中するようになっている。

 その最たる例がサムスンとTSMCだ。これにより、世界の総半導体製造能力のおよそ4分の3が中国と日本、韓国、台湾で占められており、世界の高性能半導体(プロセスノードが10ナノメートル未満)製造能力のほぼすべては事実上、韓国と台湾で占められている。

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