企業が非対面のサービス提供に注力している。その際に、基盤となるシステムとして導入が進んでいるのが、オンラインで本人確認が完結する技術「eKYC(electronic Know Your Customer)」だ。
サービスを提供する場合、顧客が実在しているのかを確かめる必要がある。対面の場合は、運転免許証やマイナンバーカードなど、写真が付いた公的に身分を証明できるものを用いる。
非対面サービスでは、これをオンラインで実施する必要がある。ユーザーは、モバイルアプリやPCのブラウザーから、顔写真、氏名、住所、生年月日が記された身分証明書の画像を送り、受け取った事業者などが、身元を確認するという流れだ。
特に、金融機関での先行事例が目立っている。三菱UFJ信託銀行は、2021年3月に提供を開始した情報銀行プラットフォームサービスの本人確認手続きにeKYCを導入すると報じられた。利用者はオンライン上で安全・簡単に本人確認ができるようになり、サービスの利便性や集約データの信用度を向上するとしている。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、対面での接客を抑制する動きが継続している中で、eKYCはさまざまな場面でユーザーの利便性を確保するための鍵を握る技術と言えそうだ。