ネットワンシステムズは9月9日、報道機関向けに事業説明を行った。2019年以降に相次いで発生した不祥事からの信頼回復を図ると位置付ける現中期経営計画の進展状況や次期計画の方向性などを説明した。
ネットワンシステムズ 代表取締役 社長執行役員の竹下隆史氏
同社では、2019年以降に循環取引や架空取引の不祥事が相次いだ。2021年4月には技術部門出身の竹下隆史氏が、代表取締役 社長執行役員に就任。説明会の冒頭で竹下氏は、不祥事により関係者へ迷惑をかけたとして謝罪し、全社を挙げた再発防止に取り組んでいるとあいさつした。
2021年度に終了する現在の3カ年の中期経営計画では、社員、顧客・パートナー、会社の成長を目標に、ヘルスケアや教育、製造の注力市場と統合サービスモデルの推進、働き方改革/DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む。竹下氏は、1988年の創業から30年以上にわたってネットワークシステムを中心としたビジネスの経験が、DXなどを実現するICT(情報通信技術)ニーズへの対応で強みになると強調した。
2019~2021年度の中期経営計画の概要
最終年度の現在は、コロナ禍へのITでの顧客支援案件が多く、自治体におけるクラウドおよびセキュリティ対策、企業でのテレワーク対応およびゼロトラストセキュリティ対策の導入、製造業におけるスマート工場とサプライチェーン(供給・調達網)のセキュリティ対策などに注力する。顧客事例として、旭化成でのSD-WAN構築や広島県東広島市のServiceNowを利用した市民向けポータルシステムなどを挙げている。
現計画期間は、DX推進やコロナ禍でIT需要が高まり同社ビジネスも堅調に推移するが、期初の不祥事が同社の信頼を大きく失墜させたとする。竹下氏は、監視に力点を置くガバナンス体制の強化と、誠実・倫理を重視する企業文化の変革に取り組んでいるとし、事業成長との両軸で計画目標の達成に努めるとした。
信頼回復と成長戦略の施策
並行して2022年度以降の次期中期経営計画を策定中だが、課題認識を改めつつ同社の事業特性を踏まえた価値創造により持続可能な社会への貢献を目指す方針という。竹下氏は、「今後の成長への道筋を付けたい」と表明した。
また説明会では、現計画の主要な取り組みと位置付ける「統合サービス事業」の状況を取締役 執行役員の篠浦文彦氏が説明。同事業は、製品販売とそれに付帯するシステム構築、保守などのサービスによる古い収益モデルを変更し、顧客システムのライフサイクル全般にわたる長期的関係性と包括的サービスの提供で収益化するものという。
ネットワンシステムズ 取締役 執行役員の篠浦文彦氏
これまでにクラウドセキュリティゲートウェイソリューションやSaaS・APIマネージドサービス、自治体ポータルやセキュリティクラウドインフラなどをソリューションメニュー化し、提供。サービス提供や営業、ファイナンスなどの変更による顧客関係の強化に取り組み、顧客と伴走型でIT活用のビジネス価値創造を目指すとした。
技術面では、APIやSASE(セキュアアクセスサービスエッジ)、ローカル5G(自営型第5世代移動体通信)、アプリケーションモニタリング、Infrastructure as Codeなどのクラウドネイティブ、クラウドライクな技術や手法を取り入れるサービスプラットフォームを構築、これをDXイネーブラー(実現役)と位置付け、顧客サービスに用いる。その基盤を「netone Elastic インフラストラクチャー」と名付け、現在は第1期の整備中にあるという。
また、DX支援などに向けた「netone Lab As A Service」(LAAS)も展開。シナリオベースによるテクノロジー活用手法など19種類をメニュー化し、これまでに約100社に提供した。篠浦氏は、同事業を今後も継続して拡充させていくと述べ、次期計画でも中心になるとの見方を示した。
「統合サービス事業」のコンセプト