ITのスキルを持った人材に対する需要が高まっており、特に今は、クラウドとオープンソース技術を両方持っている人材に大きなチャンスが巡ってきている。しかし企業は、これらの分野のスキルを従業員に習得させるという課題を乗り越えられるだろうか。
この疑問に答えたのが、The Linux FoundationとedXが最近発表した調査レポートだ。この調査は、オープンソース分野のプロフェッショナル750人とテック分野の採用担当マネージャー200人を対象として実施されたもので、レポートでは、コロナ禍以降に雇用が回復していることが明らかになった。調査に回答した採用担当マネージャーの50%は今後6カ月、オープンソースのプロフェッショナルの採用人数をこれまでの6カ月より増やす計画だと述べている。しかし大きな課題も存在する。採用担当マネージャーの92%は、オープンソースのスキルを持つ十分な人材を見つけることが難しいと答えており、そればかりか、人材獲得競争が激しくなる中、今いる人材を維持することにも苦労している。さらに、オープンソースソフトウェアの急速な普及が、雇用市場のスキルギャップをこれまで以上に広げている。もっとも需要が高かったのはクラウドネイティブアプリケーションの開発と運用に関するスキルで、採用担当マネージャーの46%がこのスキルを求めていた。
The Linux FoundationのエグゼクティブディレクターJim Zemlin氏は、「最高のキャリアパスを模索している人たちは、クラウドネイティブコンピューティング、DevOps、Linux、セキュリティのスキルを身につけるのがもっとも有効だ」と述べている。確かにそれはその通りだろう。
しかしそれには、トレーニングや教育に対するさらなる支援が必要だ。調査に回答した開発者が直面している最大の課題はトレーニングの機会がないことで、回答者の41%がこの問題を挙げていた。その他の課題には、オープンソースプロジェクトのドキュメントが不足していること(38%)や、オープンソースの使用に経営陣の賛同を得るのが難しいこと(37%)などが挙がっている。
今回の調査では、採用担当マネージャーからの需要がもっとも大きいのはクラウドとコンテナーの技術に関するスキルであることが明らかになり、この調査が始まってから初めてLinuxのスキルに対する需要を上回った。
オープンソースの採用マネージャーにとって最も重要度の高いテクノロジーは以下の通り。
- クラウド/コンテナー技術 41%
- Linux 32%
- ネットワーク技術 31%
- セキュリティ 28%
- 人工知能(AI)/機械学習 18%
- ストレージ技術 17%
- エッジコンピューティング 17%
- ウェブ技術 16%
調査に回答したプロフェッショナルの61%は、過去1年の間に所属組織のクラウド利用が拡大したと述べていた。もちろんそのためには、Linuxやネットワーキングを含むインフラ技術が非常に重要だ。また、クラウド環境の管理にはDevOpsやセキュリティ対策も必要になってきている。採用担当マネージャーがこれらの分野も重要視しているのはそれが理由だろう。また今回の調査では、DevOpsがソフトウェア開発の標準的な手法になっていることも明らかになり、ほぼすべてのオープンソースプロフェッショナル(88%)が、仕事でDevOpsの手法を使っていると回答していた。これは、3年前と比べて50%の増加だ。