プログラミング言語「PHP」を支える非営利団体「PHP Foundation」設立

Liam Tung (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-11-26 11:39

 広く普及しているプログラミング言語の1つであるPHPの未来を保証するために、新たな非営利団体が設立された。

 PHPは1995年、Rasmus Lerdorf氏によって生み出された。ウェブ技術調査企業W3Techsによると、世界のウェブサイトの約78%で用いられていることもあり、人気言語の1つとなっている。

 チェコ共和国に拠点を置き、統合開発環境(IDE)を手がけるJetBrainsが、PHP Foundationの設立を発表した。PHPの今後の開発に向け支援する数社で構成されている。JetBrainsのほか、Automattic、Laravel、Acquia、Zend、Private Packagist、Symfony、Craft CMS、Tideways、PrestaShopが名を連ねている。

 PHPの非営利団体を設立するというアイデアは何年も前から存在していたものの、PHPの主要な貢献者であるNikita Popov氏がPHP以外の道に進むと決断したことで、団体設立が喫緊の課題となっていた。

 Popov氏は、JetBrainsでの約3年間を含め、10年間にわたってPHPに携わってきたが、LLVMに軸足を移すという決断を下した。

 JetBrainsは、「Nikita(Popov氏)はPHP以外にも、RustやLLVMに長期間にわたって貢献してきた。そしてPHPの時と同様に、LLVMが趣味の対象から本当の仕事になったことで、同氏はLLVMに関するプロフェッショナルなアクティビティーに注力していくと決断した」としている。Popov氏は12月にJetBrainsを退社する予定だという。

 JetBrainsは、「同氏は豊富な知識と専門性を有しているため、同氏のようなPHPの主要な貢献者を失うのはコミュニティーにとって痛手だ。これによって、ウェブの78%で用いられているこの言語が危うい状況に陥る。また、メンテナーに大きな重荷がのしかかるのは言うまでもない。OSSの世界では、こうした重荷が、残念ながら人々の燃え尽き症候群につながる場合もたびたびある」と述べている。

 PHP Foundationが設立される背景には、PHPのある重要な部分の保守に専心できる開発者層が薄いという現実がある。PHPのコントリビューターであるJoe Watkins氏が5月、この課題について提示していた。

 Watkins氏は、「PHPのソースコードには、少数の人々しか理解できない部分があるという状況が常態化している」と述べている。そして、この言語の将来は特にDmitry Stogov氏とNikita Popov氏の2人にかかっているとWatkins氏は指摘する。両氏は、PHPのJITコンパイラーの保守で欠かせない存在だ。JITはPHPの将来に不可欠であり、なくすことはできない。

 PHP Foundationは「Open Collective」で資金を募っており、年間30万ドル(約3400万円)の調達を見込んでいる。JetBrainsは毎年10万ドル(約1100万円)を寄付する。

 「PHPのコア開発者に、市場相場の給与を支払えるようになると期待している。資金が集まるほど、より多くの開発者がフルタイムでPHPに取り組めるようになる」

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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