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「freee会計」の経費精算機能を切り出して提供--改正電帳法への対応策を展開

阿久津良和

2021-12-03 08:00

 freeeは12月1日、電子帳簿保存法の改正に関する記者説明会を開催した。改正電子帳簿保存法(改正電帳法)の概要は以前の記事で説明したので割愛するが、すべての事業者が影響を受ける改正のため、同社はメディアを通じた啓発に努めている。

 新たな取り組みとして、同日から「freee会計」の経費精算とワークフローの機能を単独の「freee経費精算」として提供を開始した。2022年内に“優良電子帳簿”に対応する機能を追加料金なしでfreee会計の全プランに提供する予定だ。

freee CEO 佐々木大輔氏
freee CEO 佐々木大輔氏

 同社最高経営責任者(CEO)佐々木大輔氏は改正電帳法の施行によって、「電子と紙の混在がもっともコストが煩雑になる。電子帳簿保存法で完全ペーパーレス時代が到来する非常に重要なステップだ」と期待の弁を述べた。

来月施行でも内容を把握しているのは2割

 freeeの独自計算によれば、各中小企業が経費精算に使う時間は年間164時間。だが、改正電帳法によって、レシートや領収書を経理部門に提出しなくて済むことで、年間約130時間の削減につながるという。

 日本経済団体連合会の報告書では企業が保存する経費関連資料にかかるコストは年間約3000億円、freeeの算出では年間約1兆2000億円におよぶそうだ。電帳法は以前からスキャナーによる申請・管理に対応していたものの、タイムスタンプの付与は3日以内、定期的な検査など要件が厳しく、利用する企業は約4000社(2020年3月時点)にとどまる。

経済産業省 大臣官房 会計課 政策企画委員 廣田大輔氏
経済産業省 大臣官房 会計課 政策企画委員 廣田大輔氏

 記者説明会に登壇した経済産業省 大臣官房 会計課 政策企画委員 廣田大輔氏は「注力したのは現場の手続き論。性悪説と言ったら聞こえは悪いが、改竄を防ぐ仕組みがあり、リスクアプローチに舵を切った」と電帳法を改正した背景を説明した。

 中小企業でのペーパーレスの推進状況は厳しい。freeeの調査によれば、中堅企業は約23%(有効回答数657)、中小規模事業者は約20%(有効回答数659)にとどまる。他方で82%はペーパーレス化がコスト削減につながると認識し(有効回答数607)、各先進国も電子保存を以前から認めてきた。

 フランスに至ってはレシートの発行禁止を2020年2月から定めており、消費者が要求しない限り、発行されることはない。加えて10ユーロ以下の罰金(2021年1月から20ユーロ以下、2022年1月から30ユーロ以下に拡大)が科される。ペーパーレスが業務生産性でも環境保護の面でも有用なことに異論はないだろう。

 佐々木氏は「完全ペーパーレスで業務のアクセシビリティーや労働時間の売り切り、ワークライフバランスの正常化が期待できる」と持論を語った。

 だが、企業のペーパーレスを推進する改正電帳法の認知度は低い。同社調査によれば、同法の内容を把握している割合は、約22%(有効回答数2041)。2022年1月施行にもかかわらずだ。そのため会計ソリューションを提供する各IT企業は改正電帳法の啓発活動や自社ソリューションの対応に努めている。

freee プロダクト開発基盤プロダクトマネジャー 小泉美果氏
freee プロダクト開発基盤プロダクトマネジャー 小泉美果氏

 freeeは改正電帳法施行にあわせて、同法が必要とする電子帳簿保存やスキャナー保存、電子取引データ保存といった要件にすべて対応する。その理由を同社 プロダクト開発基盤プロダクトマネジャー 小泉美果氏は「ペーパーレスを当たり前に使ってほしい、との思いから全対応した」と説明した。

 また、freee会計のファイル管理機能である「ファイルボックス」を2022年1月から無償提供する予定だ。同日から提供開始するfreee経費精算は、初期費用を必要とせず、1ユーザーあたり月額500円(21ユーザーから利用可能)で提供する。小泉氏は「社内手続きを大幅に短縮できる」と利点を強調した。2021年9月から提供していた「NINJA SIGN」と連携する電子契約機能についても、12月中に見積書や請求書を作成する受発注業務に対応する。

 改正電帳法では、「訂正と削除の履歴が残る」「相互関連性が確保できている」「日付や金額、取引先を検索できる機能がある」などの要件を満たした電子帳簿は優良電子帳簿として、過少申告加算税の5%の軽減措置を受けられる。軽減措置の適用では、所轄する税務署に届出書を提出する必要がある。

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