日本オラクル、基幹システムのクラウド移行を支援--検討段階での不安や懸念などを払しょく

藤本和彦 (編集部)

2021-12-17 07:00

 日本オラクルは12月16日、パブリッククラウド「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)への移行を支援するプログラム「Oracle Cloud Lift Services」の日本での展開状況やサービス内容について、報道機関向けのオンライン説明会を開催した。

 Oracle Cloud Lift Servicesは、7月8日から国内での提供が開始されている。基幹システムのクラウド化を支援するサービスで、ワークロードをクラウドに移行するための技術ツールや専門家によるサポートを提供する。

 日本オラクル 常務執行役員 クラウド・エンジニアリング統括の竹爪慎治氏は会見で、デジタル変革(DX)に取り組んでいる企業は米国が約79%、日本が56%で差があるといい、日本は米国と比べてコスト構造を変革しづらいシステム構成が課題になっていると指摘。また、日本は受託開発によるソフトウェアの導入が主流となっており、これがDX推進の足かせになっているという。

DXに取り組んでいる企業の日米比較。外部環境変化への機会の認識でも日米で差が出ている
DXに取り組んでいる企業の日米比較。外部環境変化への機会の認識でも日米で差が出ている

 Oracle Cloud Lift Servicesでは、OCIを初めて利用する顧客を支援する「New Customers」、クラウド利用開始までの期間短縮とリスク低減を目的とする「Time to Value」、顧客の満足度を向上する「Customer Experience」の3つをプログラムの柱とする。

 「OCIを使ったことのない企業にサービスを理解・導入してもらうことが目的であり、またシステムのモダナイズで時間がかかっている企業、想定外のリスクによって期待した効果が得られていない企業に対して、迅速なクラウド移行を支援していく。顧客に安心感や納得感を持ってもらい、クラウドの継続的な利用や利用範囲の拡張につなげていきたい」(竹爪氏)

 移行対象となるワークロードは、「Oracle Database On Exadata Cloud」「VMware On Cloud」「High Performance Computing Applications On Cloud」の3つ。いずれも顧客からの要望が多く、同社の強みを生かして競合他社との差別化が狙えるサービスという。

 これらのワークロードに対して、「早期立ち上げ支援」「実機検証(PoC)支援」「フィジビリティスタディ支援」「ケーススタディ支援」の各メニューを用意。特に「フィジビリティスタディ支援」「ケーススタディ支援」の2つは日本市場向けにサービスを拡張したもので、契約前の顧客への支援策となる。

 「フィジビリティスタディ支援」では、クラウド化検討での不安や懸念を整理し、検討時間の短縮や検討のためのリソース不足の解消に導く。ヒアリング情報などから週1回、1カ月程度のワークショップを実施し、移行対象システムの整理やクラウドアーキテクチャー図、移行実現性評価、OCIの概算費用、移行に向けたタスク整理などを作成していく。

 「実機検証(PoC)支援」では、机上では確認できない項目や内容について、クラウドの実機検証を柔軟な体制で支援し、クラウド化検討の懸念を払しょくする。

「実機検証(PoC)支援」の提供モデル
「実機検証(PoC)支援」の提供モデル

 現在、日本オラクルでは、Oracle Cloud Lift Servicesを通じて約50社、60プロジェクトほどを支援しているという。

 会見では、Oracle Cloud Lift Servicesに賛同を表明しているパートナー各社も紹介された。アクセンチュアや伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、SCSKをはじめ17社が名を連ねている。

Oracle Cloud Lift Servicesに賛同を表明しているパートナー各社
Oracle Cloud Lift Servicesに賛同を表明しているパートナー各社

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