人工知能(AI)を活用したサービスを展開するエクサウィザーズはスギ薬局と共同で、小売業向けの「品揃え最適化AI」を開発し、調剤併設型ドラッグストア「スギ薬局」で運用を開始したと発表した。同システムの機能には、「品揃えパターン生成」と「代替可能性分析」がある。
小売業において、「最適な品揃えの追及」は売場生産性の向上を図るためだけでなく、より良い顧客体験を提供するために重要な取り組みだという。そのためには、日々変化する顧客のニーズや購買行動の変化などに対応した棚割りの作成が要不可欠となる。
だが、カテゴリーごとに数百ある昇格/降格商品候補の組み合わせを複数の判断条件から決め、売れ行きに応じて商品を入れ替えながらスペース配分を行う同業務は、組み合わせパターンが膨大になるためマニュアル化しづらく、棚割りの商品の決め方が属人的になることで、売上効率を向上できる組み合わせを実現・再現するのが難しいという課題があった。
品揃えパターン生成では、数理最適化技術を用いて、対象商品リストや売上情報などを基に売上効率を上げる商品の組み合わせを自動で算出する。ドラッグストアをはじめ、小売店で取り扱う多種多様な商品カテゴリーに対応しており、小売業の実際の業務に即した考え方を反映させながら、売場生産性を向上させることができるという。
代替可能性分析では、対象商品の過去の購買傾向をAIが解析し、類似した商品を特定するとともに、ある商品に対して別の商品を購入する可能性を算出する。それによって、カットしても売り上げが減少しづらい商品構成を実現し、売れ行きが良い商品を増やすなど、売場効率を高める施策が実施できるようになる。
スギ薬局で同システムを用いてシミュレーションを実施した結果、棚割りのための品揃えパターン作成業務をAIで標準化でき、一定の売上増加が期待されると分かったという。従来の品揃えパターンの作成は、全国約1450店舗の利用客の購買行動や地域特性を踏まえて、多くの商品カテゴリーとそれぞれのカテゴリー単位で数百に及ぶ商品種別から人手で行っていた。この結果を踏まえ、今後はスギ薬局全店舗において同システムを活用した陳列商品の最適化を行う予定だという。