シャープは、基幹業務システム(ERP)のシェアリング(共同利用)を実証するプロジェクトを開始した。クラウド型の基幹業務システムを活用し、中小企業のデジタル変革(DX)推進や生産性向上を目指す。実施場所は大阪府枚方市。期間は1月上旬~4月30日まで。
同社は「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」の「大阪ものづくり2.0」プロジェクトに参画しており、今回の実証もそれに基づくもの。調達、製造、在庫・出荷管理、販売、会計の統合管理(統合ERP)により、中小企業のDX推進や業務効率化の効果を検証していく。
2020年8月設立のフォーラムは、大阪府や府内の43市町村、企業、大学、シビックテックなどが参画し、「スマートヘルスシティ」「高齢者にやさしいまちづくり」「子育てしやすいまちづくり」「移動がスムーズなまちづくり」「インバウンド・観光の再生」「大阪ものづくり2.0」「安全・安心なまちづくり」の7分野において、市町村が抱える地域・社会課題の解決に向けたプロジェクトを進めている。
クラウド型基幹業務システムイメージ
今回の実証に当たり、シャープは国内外のグループ企業で導入する基幹業務システムの構築・運用から得た知見を生かし、中小企業向けのクラウド型基幹業務システムを新たに開発した。枚方市が募集した同市内のものづくり企業5社が参画、パイロットユーザーとしてシステムを導入し、経営効率化や生産性向上への貢献度を確認する。シャープは参画企業からのフィードバックを生かし、システムの改良につなげていく。
システムは調達、製造、在庫・出荷管理、販売、会計といった一連の業務プロセスを、クラウドで統合管理する。受注と部材調達、製造、出荷をひも付けて管理できる。進行状況に応じた行動や顧客への納期回答などが迅速かつ的確になるという。また、部材の入庫・商品の出荷、在庫などの会社の資産や収支状況を日次レベルで把握できるので、データ分析に基づいた経営判断や戦略の立案にも役立つ。