「Docker」がまだ目新しかった数年前にも、いずれはコンテナー技術が重要な存在になると考える人は多かったが、それほど確信があったわけではなかった。しかし2022年になった現在、そのことに疑問の余地はなくなっている。Dockerはコンテナー革命を引き起こし、コンピューティングのあり方を一変させた。Gartnerは、2023年中には世界の企業の70%が2つ以上のコンテナー化されたアプリケーションを本番環境で利用するようになると予想している。これはおそらく間違ってはいないだろう。最近公開されたCloud Native Computing Foundation(CNCF)の調査レポート「CNCF Annual Survey 2021」では、現在最もよく使用されているコンテナーオーケストレーションソフトウェアである「Kubernetes」の普及が急速に進んでいることが明らかになった。調査対象となった企業の96%がこの技術を使用しているか、使用を検討しているという。
この技術が誕生から8年も経っていないことを考えれば、素晴らしい結果だと言えるだろう。
調査では、他にも次のようなことが明らかになった。
- コンテナーの導入とKubernetesの利用が一般的になっており、特に大企業で普及が進んでいる。ソフトウェア開発コミュニティの分析を専門とする調査会社SlashDataによれば、世界で560万人の開発者がKubernetesを利用しているが、これはバックエンド開発者全体の31%に相当する。
- Kubernetesは「舞台裏」の技術になりつつある。別の言い方をすれば、Kubernetesを本番環境で利用する企業は、マネージドサービスやパッケージ化されたプラットフォームを利用しているケースが増えているということだ。クラウド監視サービスを提供しているDatadogによれば、Kubernetesユーザーの90%近くがクラウドマネージドサービスを利用しており、2020年の70%弱よりも大幅に増えた。
- 企業はスタックの上層の技術を利用するようになっており、監視や通信などのより高度な課題に取り組むために、まだ成熟が進んでいないプロジェクトを導入する企業が増えた。コンテナー監視サービスを提供しているNew Relicは、2021年後半の6カ月間で、オープンソースの時系列分析監視ツールである「Prometheus」の導入事例が43%増加したと指摘している。