災害復旧(DR)とは、特定の地域のインフラストラクチャーやアプリケーションを保護し、不測の事態に直面した場合にビジネスへの影響を軽減することをいいます。その目的は、シームレスで自動化されたリカバリーを実現し、アプリケーションが最小限のダウンタイムで再稼働を果たし、数分以内にその機能を復旧できるようにすることです。コンテナーやKubernetesのようなテクノロジーは、アプリケーション開発に新たな可能性をもたらしますが、急増するサイバー脅威から保護するためには、やはりDR計画が必要になります。今回は、第1回で紹介したバックアップ30年のベテラン、Veeam Software エンタープライズ戦略担当のDave Russellの解説とともに、コンテナーアプリケーションの災害復旧対策の注意点について考察していきます。
Russellによると、コンテナー以前の世界でバックアップとリカバリーのソリューションは、一般的に仮想マシン(VM)レベルで実装されていました。これは、従来のオンプレミスシステム上で動作するアプリケーションには有効です。しかし、アプリケーションがコンテナー化され、Kubernetesのようなオーケストレーターを使ってリモートで管理されるようになると、この方法は通用しません。ここでの効果的なDR計画には、コンテナー化されたアーキテクチャー向けに設計され、Kubernetesの機能をネイティブに理解する必要があります。
Gartnerによると、2022年までに世界の75%以上の企業がコンテナー化されたアプリケーションを本番環境で実行するようになると予想されており、これは2020年6月時点の30%未満から増加しています。コンテナー化されたアプリケーションが企業のITサービスの一部である限り、現実には他の全てのものと同じように保護・管理されることが望ましいです。
コンテナー化されたアプリケーションを使用している企業では、DRの準備状況にギャップがあります。テクノロジーが進化し続ける中で、最高情報責任者(CIO)は、この分野をもっと真剣に検討する必要があります。
DRの課題に挑戦するために
Russellは、コンテナー化されたアプリケーションには、これまでのKubernetesの進化から得られた恩恵にもかかわらず、まだ限界があると言います。皮肉なことに、アプリケーションの開発、生産性、デプロイメントを容易にするインフラが、DRへの備えという点では大きな課題につながっています。
コンテナー化されたアーキテクチャーは、最小数の独立したサービスがそれぞれのコンテナーにホストされることで、ダウンタイムのリスクを最小化することを目的としています。これにより、必要に応じて柔軟性とアクセス性を高めるとともに、混乱に直面した際に障害が発生する可能性を低減することができます。
しかし単一の企業IT戦略の中で、Kubernetesのワークロードで数百ものコンテナーを抱えることがあるため、この状況にITチームが圧倒されてしまいます。この複雑さがもたらす最大の課題は、バックアップとリカバリーであり、Kubernetesは、常にDR計画の中心的なテーマとして含まれる必要があります。
災害は、ヒューマンエラーやサイバー攻撃、自然災害まで、さまざまなかたちで発生します。デジタル化することで、データ損失のリスクを最小限に抑えることができますが、いざという時に効率的に復旧できるように、全てのアプリケーションには鉄壁のDR戦略が必要です。災害発生時に、膨大な数のコンテナーをバックアップし、ワークロードを復元する作業は非常に複雑であり、DR計画を準備する際に見過ごすことはできません。