編集部からのお知らせ
New! 記事まとめ「ISMAP-LIU」
話題の記事まとめ「通信障害と社会リスク」
あなたの知らないMDM(マスターデータ管理)の世界--MDMの正しい使い方

第3回:分断された世界をつなぐMDM

水谷哲 (NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション)

2022-02-21 07:00

 これまで2回にわたって「MDMは大変だ」「名寄せは大変だ」と訴えてきた。そろそろマスターデータ管理(Master Data Management:MDM)の明るい面を語らねばなるまい。

 筆者はかつて、辛口のコンサルティングを要望され、20倍カレー相当のモノをお出ししたことがある。最後に「確かに要望通りであるが、最終報告には夢が欲しい。ホンワカ甘い人に交代してくれ」と言われクビになった。

 ショックだったが、明らかに自分の失敗である。「包丁人味平」を年配の方はご存じであろう。料理バトルの草分け的なマンガである。そこに出てくる「味平カレー」は、最終的には水を添えることで、激辛にもかかわらず各自で辛さを調整でき、万人が美味しいと思えるカレーが完成した。

 読者の皆さんも他山の石としていただければ幸いである。コンサルティングに限らない。企画や報告にも通用する教訓だ。さて、今回のテーマはMDMにおける「つなぐ」役割になる。

MDMの意義は「つなぐ」こと

画像1

 共通マスターとMDMとは、似て非なるものである。より正確に言えば、MDMとは強化された共通マスターだ。共通マスターが国語辞典なら、MDMは国語辞典+英和・和英辞典に相当する。

 共通マスターとは、全社で同じマスターを使いましょうということで、昨今のビジネスにおいて英語が必須だから、公用語を英語にしようというのに近い。グローバルでは便利だが、平均的な日本人には負担になるのも確かである。それを補ってあまりある海外ビジネスがなければメリットはない。

 MDMは、全社の共通マスターを決めるとともに、各国用の翻訳辞書もあわせて整備する。業務用の自動翻訳を想像していただきたい。日本人は日本語を正しく使えさえすれば、共通マスター経由で何語でもコミュニケーションが取れるようになる。

 ここで言う翻訳とは、自然言語に限らない。MDMは人とシステムの翻訳辞書でもある。辞書さえあれば、人は「顧客」と言い、営業支援システム(SFA)では“customer”、販売管理では“CUST”で一向に構わない。同じ「顧客」を指すことが分かるからだ。新しい国が登場しても、新しく会社を買収しても、パッケージを乗り換えても、クラウドに移行しても、やることは同じ、翻訳辞書の編集だけである。

 たった一つの共通マスターしかなければ、都度変更が発生する。共通マスターなので、全ての関係者、全てのシステムと調整せねばならない。

 人の調整には反対がつきもので、システムの調整にはコストがつきものだ。たとえコストが無視できても、リードタイムが月単位で必要となり、数カ月あれば、次の変更が飛び込んでくるものである。

 まるで10分遅れの時計のようなものだ。永遠に正しい時刻を指すことはない。時刻が正しくないのに、時間を守ろうという掛け声をかけても虚しいだけだ。データを頼ることができて初めて、データを基に意思決定しよう、データドリブン経営をしようという掛け声が意味を持つ。

 ここでは、MDMが「つなぐ」ことについて時系列で語ってみたい。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNet Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]