アステラス製薬は、自社の基幹システムを刷新するに当たり、日本、米州、欧州の3拠点への導入を完了した。 プロジェクトを支援するアクセンチュアが2月25日に発表した。アステラス製薬は今後、導入拠点の拡大を計画している。
同システムは業務を標準化・簡素化し、国や部門にまたがって存在していたサプライチェーン(供給網)、人事、購買、会計などのデータを連携・統合する。企業活動が可視化されることで、ビジネス機会やリスクを予測し、意思決定や業務遂行をデジタル上で行うことが可能となる。
基幹システム導入に加えて、アステラス製薬はアクセンチュアの協力のもと、世界規模でビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)を進めている。今後は基幹システムに集約されたデータとBPOで扱うデータに、人工知能(AI)、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)、アナリティクスなどのデジタル技術を組み合わせる。これにより、販売管理費が適正化され、革新的な医療ソリューションの創出に向けた経営基盤の強化が見込まれる。
アクセンチュアが刷新を支援した基幹システムは統合基幹業務システム(ERP)「SAP S/4HANA」を中核とし、パブリッククラウド基盤「Microsoft Azure」で運用されている。クラウドが持つ柔軟性を活用して最新技術を迅速に取り入れることで、事業継続計画(BCP)への対応や合併・買収などの事業拡大にも即座に対応できるようになった。アステラス製薬は、人事ソリューション「SAP SuccessFactors」も導入し、従業員のイノベーション促進を図っている。
今回の取り組みについて、アステラス製薬 情報システム部長の須田真也氏は「当社のシステムをフルクラウドで刷新できた要因の一つには、アクセンチュアが世界中からさまざまな専門家を集め、まさに『One Team』で当社のニーズに応えてくれたことがある。今後は全てのトランザクションデータが1カ所に集約され、将来の予測がしやすい環境になる。これをうまく活用して、データ駆動型の経営ができるビジネス基盤として進化させていく」とコメントしている。