機械学習を応用した人工知能(AI)の光学文字認識(OCR)をクラウドベースで利用できるAI OCR「DX Suite」を提供するAI inside(渋谷区)は2月28日、自社のプラットフォーム戦略を解説する記者説明会を開催した。同社は2月11日に組織改編し、それまで同社代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)を務めていた渡久地択氏が、最高プロダクト責任者(CPO)を兼任している。
最高財務責任者(CFO)の交代を発表するとともに最高マーケティング責任者(CMO)も新設した。新しいCFOには岡村隆樹氏が就任、CMOにはApple日本法人代表取締役を務めた前刀禎明氏が就任している。
AI inside 代表取締役社長 CEO兼CPO 渡久地択氏
現在、「AIをシェアする場所を用意して、多様なAIを実現」(渡久地氏)するマーケットプレイスの準備に取り組んでおり、数カ月内の実現を目指している。さらに「SaaSプロダクトの提供から、AI開発、運用の内製化実現と、開発したサービスをマーケットに提供できるプラットフォームへの転換」(渡久地氏)を目標として指し示した。
機械学習に必要な画像の下限を300枚から20枚に
AI insideは「DX Suite」のほかに、クラウドベースでAIモデルをノーコードで開発、運用できるサービス「Learning Center」、ユーザー企業内でAIを運用するエッジコンピューターの「AI inside Cube」を提供している。Learning Centerは「それまでAPIを用いて確認する必要があった(目視による)確認がワンクリックで済む」(渡久地氏)ようになったという。
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例えば、工場内で形状が異なるネジの確認にAIを用いる場合、学習モデルの構築と人間による目視が必要だったが、プレビュー画面に推論結果をあわせて示すことで作業効率を向上させている。学習データのインポート機能に同じ例えを用いると、「異なるネジの写真をアップロードし、Learning Center用の学習データを作成すると、工場内の作業工程が増えてしまう。別環境で作成した教師データをインポートすることで、AIの学習工程が大幅に軽減」(渡久地氏)できるという。
また、従来は機械学習に必要な画像枚数の下限は300枚だったが、今回20枚まで減少させている。「もちろん20枚で十分か否かは作業内容によって異なるが、ある程度の精度は出る」(渡久地氏)という。他にも利用者のコスト減を考慮して料金体系を1秒単位の従量課金制に変更した。
Learning Centerのプレビュー機能
DX Suiteは全文読み取り機能の提供が大きな注目点。「従来は記載されている項目がおおよそ同じ定型や非定型の書類を読み取っていたが、現在は(本機能の実装により)何でも読み取れる」(渡久地氏)と強調する。具体的にはAI OCRで読み取ったデータに対して本文と書類内の座標を連携させ、手書きや印刷文字が混合した書類でも正確に読み取れるという。