日本はデジタル化を「IT化/情報化」と混同--ガートナーが指摘

ZDNET Japan Staff

2022-03-14 14:27

 ガートナージャパンは3月14日、「日本のデジタル化に関する展望」と題する見解を発表した。2025年まで日本における「デジタル化」と呼ばれるものの7割以上が、従来のIT化/情報化とほとんど変わらない取り組みだと予想し、「何でもデジタル化と捉えられ、デジタル化の意味がかつてのIT化/情報化と混同されているケースも多くみられるなど混乱が生じている」と指摘している。

 同社は、現在の日本で「デジタル化」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の言葉が氾濫しているとする。テクノロジーに直接関与しないビジネス層もこれらに取り組むことが強く求められているとし、「デジタル化」がバズワードになった結果、「何でもデジタル化」と捉えられるようになっていると分析する。

 アナリスト バイスプレジデントの鈴木雅喜氏は、日本では「デジタル化」の意味が拡張、希薄化しており、日本企業はIT化/情報化への方向性と、ビジネス変革の方向性を明確に区別して取り組む必要があると警鐘を鳴らす。経営層がデジタル対応の強化を戦略としても、実際には取り組みやすい従来のIT化や情報化の領域にとどまり、本質的なビジネス変革を目指す動きが停滞することが考えられるという。テクノロジーに関与するリーダーは、この状況を理解して、「デジタル化の取り組みの意味するところをビジネス部門や経営層に正しく説明しながら、テクノロジーを活用した自社のビジネス変革を推進すべき」とアドバイスする。

 ただ、改善の兆しも見られるといい、同社がIT部門の管理者層向けに実施した調査からは、ここ数年でIT部門(あるいはDX部門)とビジネス部門の連携や協業が進みつつあることが分かった。IT部門とビジネス部門の信頼関係について、2020年までは「薄い/ない」の回答割合が「密に協業できる」を上回ったが、2021年の調査結果では逆転し、約35%が良好な連携を築いているとした。

日本のIT部門とビジネス部門の協業体制(出典:Gartner、2022年3月)
日本のIT部門とビジネス部門の協業体制(出典:Gartner、2022年3月)

 鈴木氏は、IT部門がビジネス上の成果を獲得する上でビジネス部門との連携や協業が越えなければならないハードルの1つとし、「今後も部門間連携の改善トレンドが継続すれば、2026年までに半数を超える日本の大企業のIT部門とビジネス部門が良好な連携を実現するだろう」と見る。「デジタル化への追い風が強く吹いている今、組織の規模や業種、従来のビジネスモデルなどに関係なく、全ての企業のIT部門は、未来に向けた一歩を踏み出し、また取り組みを加速していくべき」とコメントしている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]