ガートナージャパン(Gartner)は、日本のハイブリッドワークに関する展望を発表した。
これによると2026年まで、人や組織への対応にフォーカスしない働き方への取り組みの8割以上が失敗するという。これを踏まえて企業は、ハイブリッドワークを企業戦略における最重要課題の一つと位置付け、従業員にとって働きやすい環境の構築を推進する必要があるとしている。
今後のハイブリッドワーク環境における働き方の取り組みでは、従来の「オフィス中心型のデザイン」ではなく、「人間中心型のデザイン」を取り入れた働き方を推進する必要がある。
そしてこれを推進するには、(1)全従業員共通の標準環境よりも従業員個々の働きやすい環境の追求、(2)オフィス内の偶発的なコミュニケーションではなく意図的なコミュニケーションを促進する仕組みの構築、(3)目に見えるものやインプットによる評価ではなく、目に見えないものや共感ベースのマネジメントの推進、が必要になるという。
さらに、インフラやセキュリティといったIT関連のツールやサービスだけでなく、企業全体の方針や文化、働き方も根本的に見直す必要があるとする。これまでボトムアップで緊急的、断片的にテレワークやハイブリッドワークを行ってきた企業は、企業全体の働き方の問題として「人間中心型のデザイン」を目指し、中長期的な観点で対処していくことが重要だという。
なお、こうした取り組みにおいて、IT部門は「人間中心型」にフォーカスしてテクノロジーやサービスの活用を後押しすることで、高い確率で成果を創出し、さらなる成果へとつなげていく土壌を生み出す部門だという。
しかしテクノロジやサービスの活用において、例えば頻繁な報告の義務付け、ウェブカメラでの常時監視、SNSによる行動のチェック、各種モニタリングツールでの従業員の稼働状況の確認など、管理職による過剰な管理や誤った管理手法が問題となっている。そして、こうした施策によって、従業員の自律的な働き方を阻害し、生産性を低下させているだけでなく、管理職と部下の間の著しいエンゲージメントの低下を招く要因になっている。
Gartnerは、2025年までに企業の40%ではパフォーマンス可視化ツールが採用されることで、従業員の生産性が落ちることが予想されるとする。
これを踏まえ、従業員の働き方をリアルタイムで把握するために可視化ツールを導入する場合は、監視目的ではなく、同僚や部下がどのような状況にあり、どのようにサポートできるか、どうしたらより良い働き方ができるかといった前向きな評価を行うために活用することが重要だという。