NECの子会社で新事業の創出を推進するNEC Xは、人工知能(AI)スタートアップ企業Beagle Technology(ビーグル・テクノロジー)を設立した。同社では、映像分析技術とロボット制御技術を活用したブドウの自動剪定(せんてい)ソリューションを提供する。
Beagle TechnologyはNECの研究者の支援を受け、ワイン用のブドウ農家の作業効率化を支援する映像分析技術とロボット制御技術を開発した。これらの技術を搭載したロボットアームをトラクターの先端に取り付けて走行することで、カメラ映像からリアルタイムに剪定・芽摘みすべき適切な位置を特定し、走行と同時に自動で作業を行う。これにより、熟練した作業者でなくてもトラクターを運転するだけで剪定や芽摘み作業を行えるという。
米国では近年、農家における労働人口が2000年と比較して25%減少していると言われるなど人手不足が大きな課題となっている。こうした状況への対処のため、AIなどの先進技術を活用した作業効率化が求められている。
Beagle Technologyは、NEC Xを通じて設立された5社目のスタートアップ。同社は先行して5つの農家と400エーカーのブドウ農園でこのソリューションを活用した有償実証を行っており、作業効率化により剪定で約25%、芽摘みで約70%の人件費などのコスト削減が可能となった。
今後は資金調達を経て、世界有数のワインの生産地であるカリフォルニア州を中心に同ソリューションの展開を目指す。