IDC Japanは6月7日、国内クライアント仮想化市場について、2021年の調査実績を基にした2022~2026年の予測を発表した。Desktop as a Service(DaaS)、モバイル仮想化ソリューション、シンクライアント化端末などを中心に市場が拡大するとみている。
今回の予測では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、経済や社会、情報通信(ICT)市場全体が影響を受けると考え、「Baseline(基本)」「Optimistic(楽観)」「Pessimistic(悲観)」の3通りのシナリオが作成されている。
国内クライアント仮想化市場には、シンクライアント市場、クライアント仮想化ソフトウェア市場、クライアント仮想化ソリューション市場の3つが含まれる。ここでは、クライアント仮想化ソリューション市場について分析している。
まず、基本シナリオでは、2022年は0.8%のプラス成長となり2023年以降もリモートワークや在宅勤務の拡大と定着化によって堅調に推移すると予測。COVID-19の感染拡大前である2019年の水準に戻るのは、国内経済/ICT市場の回復と同時期の2025年以降になると、IDCはみている。
特に、DaaS、モバイル仮想化ソリューション、シンクライアント化端末などを中心に市場が拡大すると推測。ユーザー企業のITリテラシーやエンドポイント環境の成熟度を把握し、クライアント仮想化を定着させる方法をベースに、その企業に適合したハイブリッドソリューションを創造することが、生産性向上や業務効率化へつながるという。
楽観シナリオでは、2022年に3.0%のプラス成長になり、経済やICT市場全体が正常化し、2023年には2019年の水準まで戻るとみている。その後はリモートワーク/在宅勤務の大幅な利用者数/企業数の増加が見込まれ、市場全体も成長が継続する。
悲観シナリオでは、2024年までマイナス成長(2022年:6.0%減、2023年:3.0%減、2024年:1.0%減)となり、プラス成長に転じるのは2025年以降となる。国内外で経済が停滞し、社会そのものの在り方が大きく変容し、クライアント仮想化市場全体もその影響を受けると考えられる。
PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は「2022年は、既にネクストノーマルに突入している。サステナビリティー(継続性)とレジリエンシー(回復力)を前提としたエンドユーザーコンピューティングが求められている。ハイブリッドソリューションへ進化するクライアント仮想化を、企業のIT環境に適合させることが重視される。そのためには新しいユースケース創出が需要拡大へとつながる」とコメントする。
国内クライアント仮想化ソリューション市場 COVID-19 シナリオ(Baseline/Optimistic/Pessimistic)別売上額予測/前年比成長率:2021~2026年