半導体関連装置などを手掛けるローツェ(広島県福山市)が、乱立していた仮想化基盤群をハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)で統合し、年間で900万円相当の運用コストを削減する。同社にHCI製品を販売したネットワールドが6月21日に発表した。
ローツェは、半導体やフラットパネルディスプレイの関連装置、モーター制御機器、ライフサイエンス関連装置の開発と製造、販売を手掛ける。ネットワールドによると、ローツェでは、これら事業の拡大に応じて拡張した情報系システムでKVMベースの小規模な仮想化基盤群が社内に乱立し、運用管理がかなり煩雑になっていた。
また、製品図面やファイルサーバーなどのデータは、内製ツールで個別にバックアップしていたが、データ量の増大で処理時間が長くなり、任意のデータのリストアが短時間では難しい状況に陥っていた。同社の製品は長期利用され、古い製品の保守も多いとのこと。過去製品の図面などをすぐに戻せないことも問題になっていたという。
ローツェでは、情報系システムにおけるこれらの問題を解消するため、IT基盤の刷新に着手した。この施策でネットワールドは、ソリューションの選定や技術支援を担当し、ネットワールドと協業するインフォセンス(福岡市)が旧基盤から新基盤の移行作業を行った。
導入した製品は、仮想化などの基盤がデル・テクノロジーズのHCI「Dell VxRail」、バックアップのシステムが同「Dell PowerProtect DP4400」になる。
システム構成(出展:ネットワールド)
乱立していた小規模な仮想化環境は、その稼働のための物理サーバーを含めてVxRailに集約と統合を行った。仮想化環境を一元的に監視・管理できるようにし、物理サーバーの数も大幅に削減した。その一方、仮想サーバーの台数を2倍以上に増強し、検証・テスト用環境を自前で用意できる余裕が生まれたという。運用管理コストの削減効果は年間で約900万円相当になるとしている。
バックアップは、新システムにより処理時間が以前の約18時間から約6時間に短縮されたとのこと。新システムは圧縮・重複排除機能を搭載し、対象データのサイズを13分の1から14分の1程度に圧縮する。バックアップ先のストレージも以前は複数台利用していたがDP4400に一元化した。また、クラウド環境へのリカバリーもできるため、大規模災害など万一の場合に、クラウド環境でシステムを復旧させて事業を回復できるようにした。