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DXと業務プロセス自動化の本質

業務を機能ごとに部品化することで可能になる業務改善

ジェイ ヤマモト (Blue Prism)

2022-07-07 06:00

 前回は、業務フローの全工程をいきなり自動化するのではなく、幾つかの機能の塊に分割し整理した後に、例外処理を人が行うようにすると自動化が進みやすいと述べた。今回は、なぜ機能の塊に整理して部品化するのかの意味とその考え方を解説する。

部品化の意味

 これまでに説明したように、業務フローでデータを活用するためには、まず紙から情報を抽出し、それを入力しなければ、先に進まないという大きな障壁があった。銀行などの金融機関は、勘定計算をすることで業務を進めているために、巨大な勘定系ソフトウェアを独自に開発してきたが、それ以外のほとんどの業務は、ビジネス文書作成のためのワードプロセッサーと分析のためのスプレッドシートさえあれば事足りた状態であったと言える。業務を運営する上で、紙が中心とされていたことに不便がなかった点も理由の一つだ。

 ところが1990年代に入り、従業員一人一人にPC端末が支給されるようになった頃から問題が表面化し始めた。業務の進め方において、個人だけで完結することがなくなり、作った文章やスプレッドシートの分析表などのデータを他人に渡さなければならなくなったのだ。

 それまでは、自分の管理下の作業である限りは他人に説明する必要がなく、自分だけが理解できていれば良かった。しかし、データ(情報)を引き渡しながら業務を進める方法に移行すると、業務フロー内の前と後の工程において、共通認識の基に作業ができるように決めておかなければならなくなった。

 さて、ここで自分だけが理解できるような業務を行っている状況を想像してほしい。前工程から情報を受け取り、自分にとって分かりやすいように書き換えたり、整理したりするとしよう。次の業務担当者に向けた最終的な成果物さえ整っていれば、作業の中身は自分だけが理解していれば良いのだが、担当する別の作業者によって、作業や処理の仕方は千差万別になる。しかし、ここであなたが別の部署へ異動や転籍になったとする。

 自分が担当していた業務内容を後任に理解できる形で引き継がなければならないが、どのように引き継ぐだろうか、自分だけが理解していれば良かった作業をどのように説明するか……。

 もしかしたら、自分が行っていた作業は非効率かもしれないし、本来行うべき処理をショートカットしているかもしれない。そういったことも踏まえた上で全部を引き継いでもらうことになるが、後任の担当者は作業手順がまとめられた引き継ぎ書類をどのように解釈するだろうか。作業の意味を考え、理解できるだろうか。それとも、意味など考えず作業手順に沿って、業務を遂行していくのだろうか。

 これが俗に言われる作業の属人化・ブラックボックス化の初期段階である。こうしたことが繰り返され続けることで、意味や中身が不明であり、変更・代替できない作業というものが、密かに生まれていく。

 特に日本は、組織内の個別の事情に合わせて一つ一つカスタマイズして対応することが頻繁に行われることが多く、それに従事していた人間がいなくなると、その人だからこそ処理できていた業務が停止してしまうことが多い。停止を回避するために、引き継いだ別の人間がまた別のやり方で行うという非効率な形で業務が引き継がれていった結果、その業務で必要とされる作業の全体像を誰も把握できていない状態にしてしまい、さらには、とりあえず最終的な結果さえ合っていれば、そのままにしておこうという選択をしてしまう傾向さえある。心当たりのある方も多いのではないだろうか。

 つまり部品化とは、担当者独自の作業、独自の解釈、独自の加工・編集など、イレギュラーな処理を極力少なくし、作業を平準化することで、誰が作業しても、同じ解釈・理解ができて、定型の作業で処理できるようにすることだ。似たような作業工程があっても、その部品を使えば、開発を何度も繰り返さなくて済むようにするための大きな解決策となる。

 誰かが非常によくできた処理アプリケーションを作ったとしても、それを再利用しようとした時に、そのまま使える処理と使えない処理が出てくる。使えない処理を少なくすることに重点を置くのではなく、使える処理を1つの塊として抽象化する。または、その他の処理と組み合わせることで1つの作業が完了するのであれば、ゼロから作るのではなく、再利用すれば同じアプリケーションの別バージョンが複数存在するようなこともなくなり、誰が作業を引き継いでも同じ結果を出せるようになる。

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