Linuxを標的とする新たなステルス型マルウェア「Shikitega」が発見

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2022-09-08 11:54

 ステルス型の新たなマルウェアがLinuxシステムを標的に攻撃を仕掛けている。これに感染すると、デバイスの制御を完全に奪われる場合もある。またこのマルウェアはデバイスの制御を奪った上で、クリプトマイニングを行うマルウェアもインストールしているという。

キーボードに入力する手
提供:Getty

 このマルウェアはAT&T Alien Labsのサイバーセキュリティ研究者らによって発見され、「Shikitega」と名付けられた。研究者らの説明によると、同マルウェアはLinux OSが稼働するエンドポイントやIoTデバイスを標的にしているという。

 Shikitegaは、複数の段階を経て被害者のデバイスに感染する。同マルウェアの各モジュールは、先の段階でロードしたペイロードのコマンドに応答してダウンロードを実行した後、次の段階を実行するようになっている。

 同マルウェアは、わずか数百バイトのモジュールを手始めに、ペイロードを少しずつダウンロードすることで、ウイルス対策ソフトウェアによる検知を回避している。また、より検知しづらくするために、ポリモーフィックエンコーダーも使用している。

 研究者らは、Shikitegaの背後にいる犯罪者らが自らのコマンド&コントロール(C&C)サーバーの一部をホストするために、合法的なクラウドサービスを悪用しているようだとも指摘している。

 第1段階の感染がどのように実行されるのかは、今のところ明らかになっていないが、このマルウェアは最初のモジュールであるドロッパーから始まり、複数の段階を経て、機能の完全な実行に向けてモジュールを少しずつダウンロードしていく。これらの段階でダウンロードされるモジュールには、Metasploit Projectによって開発されている、さまざまな攻撃を実行可能にする攻撃用セキュリティツールの「Mettle」も含まれている。

 同マルウェアの機能には、ウェブカメラやプロセスの乗っ取りのほか、シェルコマンドの実行などが含まれている。シェルコマンドの実行能力により、攻撃者はシステムをさらに悪用できるようになる。現時点ではこれが犯罪者の目指していることのようだ。

 Shikitegaは、侵入したシステムを永続的に制御していくために、Linuxの脆弱性を悪用するモジュールをさらにダウンロードし、実行する。

 悪用されている脆弱性は、Linuxカーネル内の検証処理に存在し、権限の昇格を可能にする「CVE-2021-3493」と、Linuxディストリビューションにデフォルトでインストールされている「Polkit」内に存在し、深刻なメモリー破壊を引き起こす「CVE-2021-4034」だ。

 同マルウェアはこれらの脆弱性を悪用することで、最終段階のペイロードのダウンロードと実行をroot権限で行い、システムの制御を完全に奪取できるようになる。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]