Go言語で記述されたマルウェア「Chaos」、「Windows」や「Linux」で拡散中

Liam Tung (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2022-09-30 09:25

 新たに発見された「Chaos」と呼ばれるクロスプラットフォーム対応のマルウェアが「Linux」システムや「Windows」システム上で拡散しており、オンラインゲーム会社や仮想通貨交換所、サービスとしてのDDoSを提供している競合サイトに対する分散DDoS攻撃用のリソースを収集しているという。米インターネットインフラ企業Lumen Technologiesが米国時間9月28日に同社ブログで報告した。

「DDOS ATTACK」と表示された画面
提供:Alfa Photo / Shutterstock

 このマルウェアは、クラウドやシステム向けのプログラミング言語としてGoogleが開発し人気を博している「Go」で記述されており、WindowsシステムやLinuxシステムを標的としている。またLumenのサイバーセキュリティ部門であるBlack Lotus Labsの調査によると、このマルウェアはx86やx86-64、AMD64、MIPS、MIPS64、ARMv5〜ARMv8、AArch64、PowerPCといった複数のチップアーキテクチャーをサポートしているため、ルーターやIoT機器、企業のサーバーなどさまざまな機器への感染が可能となっているという。

 Chaosは、ファイアウォール機器に存在している、パッチが適用されていない既知の脆弱性を悪用し、ネットワークに侵入するための足掛かりを築く。そうした脆弱性には、華為技術(ファーウェイ)の家庭向けおよび小規模企業向け無線ルーター「Huawei HG532」に存在する「CVE-2017-17215」や、ZyXELのルーターに存在することが最近発見された「CVE-2022-30525」という、リモートコード実行(RCE)の脆弱性が含まれている。

 Lumenによると、このマルウェアは中国の脅威アクターが開発したものであるとみられ、リバースエンジニアリングを困難にするためにプログラミング言語Goで記述されているという。現時点でChaosのサンプルは約100件発見されており、これらはホスト環境のプロファイルの取得や、感染した機器へのリモートコマンドの送信、新機能の追加、SSH秘密鍵の推測によるネットワークをまたがる拡散、DDoS攻撃のローンチを可能にするものだという。

 このマルウェアは最近、ゲームや、金融関連のサービス/テクノロジー、メディアおよびエンターテインメントの分野のサイトを標的にしたDDoS攻撃で用いられている。また、仮想通貨取引所も標的にしている。

 Lumenは「Chaosマルウェアがさまざまな種類のコンシューマー向けや法人向けの機器で動作する点や、多目的用途での使用に耐えられる機能性、背後にあるネットワークインフラのステルス性を考えた場合、そのアクティビティーが、初期の侵入や、DDoS攻撃、仮想通貨のマイニングを実行するために感染機器のネットワークを拡大しているサイバー犯罪アクターの仕業であるのは、ほぼ間違いないと考えている」と記している。

 また同社は、Chaosが「Kaiji」というIoTマルウェアの新たなバージョンだと確信している。Kaijiは、Linuxに特化したセキュリティリサーチを手掛けるMalwareMustDieが2020年に発見したマルウェアだ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]