自動車のリサイクル事業を展開する豊田通商グループの豊通リサイクルは、ノーコードのモバイルアプリ作成ツール「Platio」を導入した。ツールを提供するアステリアが10月25日に発表した。
豊通リサイクルはレアメタルの回収・リサイクル、中古パーツのリユースを行うリサイクル事業を展開しており、「安全は全てに優先する」という安全方針の下で全社一丸となった安全活動を推進。重大な災害や事故に直結する一歩手前の出来事「ヒヤリハット」を記録し、リサイクル工場での安全性向上に向けた取り組みも推進している。
これまで、ヒヤリハットの記録では、専用の用紙に報告者が手書きで記録するため、「記入に時間がかかる」「用紙が汚れたり字体に個人差があったりして判読しにくい」「報告者によって情報の粒度がばらつく」などの課題を抱えていた。また、紙への記入による報告では状況の取りまとめに時間がかかり、即座に対策が実施できない状況にも陥っていた。
そこで同社は、これらの課題解決に向けて報告プロセスを見直すとともに、全社員が容易に扱うことができるスマートフォンやタブレットで運用するアプリを使った報告フローの検討を開始。ノーコードかつ低価格で現場主導で業務改革が可能なPlatioの導入を決定した。
工場で発生したヒヤリハットを記録する豊通リサイクル独自の「ヒヤリハット報告アプリ」は、プログラミング未経験の工場長がわずか3時間で作成したものという。このアプリの運用開始により、紙での報告からアプリでの報告に変わったことで報告数が倍増した。また、紙ではできなかった写真や動画の添付によって、現場でのヒヤリハット発生時の状況を視覚的に報告することも可能になった。
ヒヤリハット報告アプリの活用イメージ
さらに、ヒヤリハットの報告と同時に、責任者へもメールで情報が自動送付されることで、内容把握や改善のスピードが向上した。報告から情報管理までのプロセスが効率化されたことで、管理者の業務負担を毎月20時間削減。報告事例数が増えたことで、より注意すべき事象の傾向を分析できるようになり、効果的な業務改善を講じることができているという。
豊通リサイクルでは、このアプリを皮切りに「4Sチェックアプリ」やフォークリフト利用時の「始業前点検アプリ」など、工場での現場業務に向けた12種類の独自アプリを作成、活用している。今後も現場のニーズに応じた独自の業務用アプリを継続的に作成することで、業務のデジタル化や効率化を含めた「現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進していく方針である。