「自動化は業務運用と革新の手段」--UiPath Co-CEOのエンスリン氏

藤本和彦 (編集部)

2022-11-09 12:00

 UiPathは11月8日、共同最高経営責任者(Co-CEO)のRobert Enslin氏とプロダクトマーケティング担当バイスプレジデント(VP)のCraig Dewar氏の来日に伴い、報道機関向けに記者会見を開催した。

 Enslin氏は現在、同社 創業者でCo-CEOのDaniel Dines氏と共同で会社を指揮している人物。以前はGoogle Cloudでクラウドセールス担当プレジデントとして、グローバルフィールドオペレーションをけん引し、セールス組織の規模を3倍に拡大するなど同社の成長を推進してきたという。

UiPath 共同最高経営責任者(Co-CEO)のRobert Enslin氏
UiPath 共同最高経営責任者(Co-CEO)のRobert Enslin氏

 同氏は記者会見で、UiPathのビジネス概況について説明した。まず、「自動化は単なるツールではなく、業務運用と革新の手段」だと強調し、今後3年間で日本における自動化への投資が加速するとの見通しを示した。

 実際、同社の委託で実施された「IDC APJ Automation Survey 2022」では、2020年から2021年にかけて、自動化への支出は引き続き右肩上がりで推移し、日本の企業の76%が支出を増やしていることが分かっている。また、自動化の導入に対する優先項目のトップ3は、「経営効率の改善」(60%)、「将来のパンデミックや危機に対する事業継続性と回復力の確保」(58%)、「企業全体のデータ、人、プロセス、文化に対する全社的な洞察力とガバナンスの向上」(52%)だった。その上で、日本の企業にとって自動化は、新たな収益源の確保、既存顧客との関係の深化、事業継続性の確保やガバナンスの向上など、より大きな役割を果たすことになるとしている。

 同社の直近の業績について、Enslin氏は「10億ドル以上の年間経常収益」「1万500社以上の顧客数」「100カ国以上の顧客の国数」といった実績を挙げ、これらを「わずか7年で達成した」(同氏)と成果を強調した。加えて、同社を「エンタープライズ環境の自動化における不動のリーダー」であると位置付け、「お客さまから絶大な支持を受け、有意義なビジネス成果をもたらすプラットフォームを提供している」と話した。また、日本の重要顧客として、同氏は三井住友銀行と三菱マテリアルの2社を紹介した。

 続いて、Dewar氏が「UiPath Business Automation Platform」について、最新のプラットフォームアップデートを、「発見」「自動化」「運用」の領域に分けて説明した。

UiPath プロダクトマーケティング担当バイスプレジデント(VP)のCraig Dewar氏
UiPath プロダクトマーケティング担当バイスプレジデント(VP)のCraig Dewar氏

 発見の領域では、プロセスマイニングとタスクマイニングの機能が紹介された。プロセスマイニングは、社内で使われているシステムのデータを分析して、エンドツーエンドのプロセスを把握するもので、タスクマイニングは従業員の業務を分析して、自動化に適した定型的な日常業務を発見するものになる。これらの機能を活用し、プロセスやタスクの改善ポイントを継続的に発見し、改善効果の高い領域を特定することができるという。

 自動化の領域では、ブラウザベースの自動化開発ツール「UiPath Studio Web」がプレビュー提供されている。また、今回のリリースでは、Re:inferの買収に伴いコミュニケーションマイニング機能がプラットフォームに追加された。電子メールや文書、チャットログ、SNSメッセージなどを分析して、アクションにつながるビジネスデータの生成や新たな自動化が可能になる。「Document Understanding」では、日本語の認識が可能になり、新たに銀行取引明細書や財務諸表、さらにパッキングリストなどのサプライチェーン文書もサポートした。

 運用の領域では、「Automation Cloud」が遅延更新機能を搭載し、「米国政府機関におけるクラウドセキュリティ認証制度(FedRAMP)」の「In Process(進行中)」ステータスを取得した。また、「Automation Suite」にプロセスマイニング機能と新しいロボットオプションが追加されたとしている。

UiPath Business Automation Platformの最新アップデート
UiPath Business Automation Platformの最新アップデート

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