業務を自動化するロボティックプロセスオートメーション(RPA)をエンタープライズIT環境において必須のソリューションにしようと、RPA大手のUiPathが注力している。果たしてなり得るか。同社日本法人の幹部に聞いてみた。
RPAの事業戦略を発表して1カ月後、反響は?
「私たちはRPAをお客さまの経営課題として、全社の改革のために活用していただけるように注力していきたい」
写真1:筆者の取材に応えるUiPath 取締役 最高収益責任者の鈴木正敏氏
米UiPath日本法人のUiPath 取締役 最高収益責任者(CRO)を務める鈴木正敏氏は、同社が4月19日に行った事業戦略の記者説明会でこう述べ、同社がかねてRPAの進化形として掲げている「Fully Automated Enterprise」(完全に自動化したエンタープライズ環境)の実現を今後も事業戦略の柱に据えていくことを強調した。これは言い換えると、RPAをエンタープライズIT環境において必須のソリューションにするという決意の表れである(写真1)。
この会見の内容については速報記事をご覧いただくとして、それからおよそ1カ月を経た今、Fully Automated Enterpriseの推進強化に対するユーザー企業の反響および手応えはどうか。そして、RPAはエンタープライズIT環境において必須のソリューションになり得るのか、について、あらためて鈴木氏に取材する機会を得て話を聞いたところ、その内容が大変興味深かったので以下に紹介したい。
その前振りとして、上記の会見で鈴木氏が提示した図を2つ挙げておきたい。図1は業務自動化の必要性を説いたもので、労働人口の減少、生産性の低迷、デジタルトランスフォーメーション(DX)需要の高まりなどを挙げている。
図1:業務自動化の必要性(出典:UiPath)
図2は、Fully Automated Enterpriseの中身を説明したものだ。詳しくは前出の速報記事を参照していただくとして、ここではざっくりと全体像を俯瞰できる図だけを掲載しておく。
図2:Fully Automated Enterpriseの中身(出典:UiPath)
図1でRPAの必要性、図2でRPAの進化形の中身を確認していただいたところで、まずはFully Automated Enterpriseの推進強化に対するユーザー企業の反響および手応えについて、鈴木氏は次のように述べた。
「お客さまの反響から、私が感じたことは3つある。1つ目は、昨今のビジネス環境の大きな変化を踏まえ、多くのお客さまが事業継続性の観点から、業務を自動化できるところは積極的に進めていこうという考え方になってきたこと。2つ目は、そうした新たな取り組みへの積極的な姿勢が企業価値となり、優秀な人材の確保にもつながるようになってきたこと。3つ目は、自動化による業務の効率性向上だけでなく、事業継続性、さらには企業価値の向上にもつながるということで、RPAの活用を全社へ広げる取り組みが、多くのお客さまにおいて経営のアジェンダにしっかりと上がるようになってきたことだ」
3つの感想が、いわゆる「三段論法」になっているところが興味深い。その上で鈴木氏は、「経営とITは表裏一体。RPAもそういう意味でお役に立てるようになってきており、大いに手応えを感じている」と自信のほどを見せた。