NECは、顔認証技術と虹彩認証技術を組み合わせた「マルチモーダル生体認証ソリューション」を製品化した。国内向けには既に発売しており、海外向けには2023年春以降に順次販売を開始する。参考価格は税別300万円から。今後5年間で1万台の販売を目指す。
実証の様子
認証フローのイメージ図
同ソリューションは、2021年7~9月に実施したホテルマリナーズコートの従業員を対象とした入退管理や、2022年9月から10月に日本で開催された世界的に有名なバスケットボールイベントの来場者を対象とした決済手段において先行して実証実験を行っている。イベントの期間中に約350人が登録し、有効性が確認されている。
同ソリューションは、誤認証率100億分の1以下という高い認証精度で、パスワードなどとの併用が求められる重要施設や高セキュリティエリアでの厳格な入退場管理のほか、大人数が利用する決済など、従来生体認証だけでは導入が難しかった幅広い利用シーンに適用可能となっている。
一度に顔情報と虹彩情報を取得することにより、スピーディーなマルチモーダル生体認証が可能となる。従来虹彩情報を正確に捉えることは難しかったが、同ソリューションでは、利用者の身長に合わせてカメラを上下に自動で位置調整し、顔検出を利用して虹彩位置を正確かつ迅速に特定できるため、利用者は端末の前に立つだけで、即時に認証することができる。また、マスクやゴーグル、サングラス、帽子、手袋などの着用時や、両手が荷物で塞がっているようなシーンでも非接触での認証が可能だ。
さらに生体認証ならではのパラメーター設定や撮像環境の最適化検証など複雑な設計が不要なため、スムーズな導入が可能。REST APIに対応しているため、入退などのさまざまなシステムと容易に連携でき、導入時のコストの削減や導入期間の短縮が期待できる。またカードやPINコードなど複数の認証方法との組み合わせが必須となるシーンでの運用を、同ソリューションに置き換えることでシステム管理者の業務負荷を軽減することができる。