アトラシアン、創業20周年を迎えプラットフォーム企業への転換を表明

寺島菜央 (編集部)

2022-11-18 11:25

 プロジェクト管理ツール「Jira」などを提供するアトラシアンは11月17日、メディア向けに事業戦略と最新製品の発表を行った。発表会には最高収益責任者(CRO)のCameron Deatsch氏が登壇し、2022年5月で創業20周年を迎えたアトラシアンの軌跡についても紹介した。

最高収益責任者のCameron Deatsch氏
最高収益責任者のCameron Deatsch氏

 同社は2002年、オーストラリア・シドニーで設立し、企業の変革を支援するJiraをはじめ、ナレッジ共有ツール「Confluence」やタスク管理ツール「Trello」など、数多くの製品・ソリューションを提供している。現在、顧客数は24万9000社以上で、収益は30億ドルにまで成長したという。Deatsch氏は、「今後数年で私たちは、100億ドルの収益を得ることを目標にしている」とし、その達成に向けた取り組みとして「製品のプロバイダーから、プラットフォームを提供する企業に転換する」ことを表明した。

アトラシアンプラットフォームの概要図
アトラシアンプラットフォームの概要図

 アトラシアンは、共通のクラウドプラットフォーム上でソフトウェア開発、ITサービス管理(ITSM)、ワークマネジメントの3分野に対するソリューションを提供している。同社では、ソフトウェア開発のチームが拡大し、活用事例が増えてきているという。しかし、Deatsch氏は、「ITSMやワークマネジメントのTrello、Confluence、Jira Work Managementを企業における全てのチームに対して提供したい」とコメント。「アトラシアンプラットフォーム」では、チームのメンバーが自分の作業に適したツールを選び、使うことができる。これにより、人と人だけでなく、ワークフローやアナリティクス、自動化などを接続し、生産性を高めて事業の加速化に寄与するという。

フライホイールモデルのイメージ
フライホイールモデルのイメージ

 また同社では、技術の枠を超えたビジネスモデル「フライホイールアプローチ」を採用し、成長を続けている。このビジネスモデルは、潜在的な顧客がオンラインを通してアトラシアンの製品を購入することで、顧客やファンが口コミで製品を広げ、さらに新規顧客が増えるという仕組みだ。顧客が同社にとって営業・マーケティングの力になることで、同社はコストを抑えながら高品質の製品を構築できる。フライホイールモデルを採用してから、同社は研究開発により注力できるようになり、また営業・マーケティングのコストを削減できたという。実際に、日本を含め700社以上が同社のパートナー企業として、製品の販売やマーケティング、サポートトレーニングなどを実施している。

 「当社の日本市場に対するアプローチは他国と異なる」とDeatsch氏。日本においては、ウェブサイトやマーケティング、パートナー、商品など、全てをローカル化し、日本のチームがサポートを行っている。サポートする企業の中で生産性を大幅に向上させた事例として、つばさ公益社の事例を挙げた。

 葬祭業を担うつばさ公益社は、「分散された環境における文化の維持・強化」「従業員の柔軟な働き方の導入」「紙ベースのビジネスのデジタル化・ペーパーレス化」という3つの課題を抱えていたという。従来の紙をベースとしていた業務をTrelloに移管することで、現場にいる従業員は葬儀に関する最新情報や連絡を、時間や場所に関係なく確認でき、高いレベルのサービスの提供と生産性の改善につながったという。さらに、葬儀の固定費を40%削減できた。

 Deatsch氏は、多くの企業がこのような課題に直面しており、効率の良いチームワークを編成することは困難を極めると説明。また、リモートワークやハイブリッドワークのどちらの場合でも、チームの生産性やチーム力を強力なものにし、維持しなければならないという。この課題を解決するために、「Atlas」と、新製品である「ATLASSIAN Together」を紹介した。

 Atlasは、各チームによって扱うアプリケーションが違うことを前提に、全てのチームにおいて「どのようなプロジェクトを手掛けているのか」や「メンバー編成」「プロジェクトの目標」などの進捗(しんちょく)や背景を可視化し、コミュニケーションを図ることができる業務アプリケーション。プロジェクトの概要や作業の進行状況は、管理職やリーダーも見ることができ、企業が打ち出した戦略的なゴールに見合っているかを常時確認できる。

 例えば、プロジェクトに就任した新しいマネージャーがプロジェクトを把握するために、従来であれば過去のメールやチームメンバーから情報を逐一収集する必要があった。しかし、Atlasは、「Googleスライド」などの他ツールで作成した資料や動画の埋め込みができるため、一括で過去の情報を見ることができる。Atlasはスタンダードの場合、無償で提供しているが、さらに高度な機能を使いたい場合は有償での提供もあるという。

Atlasを用いたデモンストレーション。チーム間の過去や最新の情報を確認できる
Atlasを用いたデモンストレーション。チーム間の過去および最新情報を確認できる

 ATLASSIAN Togetherは、TrelloやConfluence、Jira Work Management、Atlas、またエンタープライズ向けのIDとアクセスを一元管理する「Atlassian Access」など、一つのサブスクリプションで全てのワークマネジメントの製品を使うことができるサービス。組織全体で全ての製品を使うことができるため、各チームの業務に最適なツールを選択できる。

 同サービスは1ユーザー当たり、月額11ドルとなっている。現在はベータ版としての提供だが、2023年には正式版として入手可能になるとしている。

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