IDC Japanは12月16日、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業のデータ活用に関する「2022年 データ利活用統括者調査」の調査結果を発表した。同調査は、国内でDXを目的としたデータの活用を進める従業員規模100人以上の企業303社を対象に、データ活用の現状や課題、データ流通の利用状況について調査したものになる。
これによると、DXを目的にデータ活用を進める中で、自社で取得したデータの利用・活用の効果が高いと考えられるものとして挙がったのは、「財務/会計/金融サービス」が最も高く26.4%だった。以下、「人材/能力/教育関連」が22.4%、「小売、店舗顧客」が15.5%と続いた。
一方、外部組織から取得/購入したデータの場合、活用の効果が高いと考えられるものとして、「人材/能力/教育関連」が12.5%と最も高く、次いで「財務/会計/金融サービス」が11.6%、「ウェブアクセス/SNS」が11.2%という結果だった。中でも、外部から入手したデータでは、「人やモノの位置情報/GPSデータ」(10.9%)も有用性が高いデータの一つであることが分かったという。
データ利活用で効果が高いデータの種類(出典:IDC Japan)
さらに、同調査からはデータの活用における課題も明らかになった。「人材/スキル」「組織構造」「経営方針/企業文化」「技術/データガバナンス」「業務プロセス」の5つの観点で課題を分析したところ、「人材/スキル」では約25%が「データの運用基盤に関するスキル不足」と回答。「経営方針/企業文化」では約24%の回答者が「リーダーシップの欠如」を挙げた。「組織構造」の観点では約30%の回答者が、「データの活用現場での理解不足」が課題だと感じていることが明らかになった。
同調査では、データを有償または無償で、販売/提供あるいは購入/取得する「データ流通」の利用状況の調査も行った。購入/取得、販売/提供別のいずれも、データ流通に関する取り組みを「既に実施している」と回答したのは10~15%だった。一方、「計画進行中」を含めると約25%、「導入検討中」を加えると40~50%に達するという。
データ流通の現状を産業分野別で見ると、「製造業」がデータ流通を積極的に活用しており、データ活用が進んでいる企業も、データ流通を既に活用していることが明らかになった。今後データ流通を通して取得したデータの種類については、「人材関連」や「ウェブ/SNS」「人やモノの位置情報/GPSデータ」に関する期待が大きい。また、「工場/プラントデータ」に対する期待も高いという。
同調査の結果を踏まえ、IDC Japan コミュニケーションズ/ITサービス グループディレクターの草野賢一氏は「データ流通の利用を拡大するためには、企業のデータ活用を高度なレベルに引き上げることが重要。高度なデータ活用をしている企業ほど、多様なデータソースを用いていることが明らかになっている。また、データ流通関連サービスの認知度が低いため、データ流通に関わる企業は、データ流通サービスが提供する価値を認知される活動が不可欠だ」と述べた。