NECと東京工業大学(東工大)は1月11日、博士後期課程学生の研究活動を支援する制度「NEC R&D Doctor's Pass」を設立すると発表した。
同制度は、東工大の博士後期課程進学を目指す同大学の修士課程在籍者を対象に募集するもので、NEC R&D Doctor's Passを取得した学生に対する博士号取得予定年でのNEC研究開発部門への入社内定や、有給の研究インターンシップの参加機会の提供、研究活動のアドバイス、上限540万円の奨学金返済支援など、博士後期課程進学における課題に対してさまざまなプログラムでサポートする。
2023年2月から書類審査や面接などによる選考を実施し、結果は2023年4月以降に本人に通知するとしている。
NECでは、2025年度を最終年度とする「2025中期経営計画」の実現を目指し、HR(Human Resources)方針として「挑戦する人の、NEC。」を掲げ、多様な人材が活躍する企業への変革に注力している。また、デジタル化に伴い事業環境が急激に変化する中、最先端技術を理解するとともに、市場や顧客の視点から社会課題を捉え新たな社会価値を創造できる人材を産学連携で育成する取り組みを推進している。同制度の設立はその一環となる。
東工大では、日本は先進諸国の中で博士後期課程に進学する学生が少なく、新産業の創出が長年停滞しているという社会課題の解決を目指している。博士後期課程進学者を増やすため、大学院課程において現在3つの卓越大学院を設置し、キャリア教育の必修化、博士後期課程における奨学金の充実などの施策を行っている。
しかし、まだ支援は十分でなく、博士号取得を希望する学生の一部は、経済的な課題、卒業後のキャリア不安に直面するにつれ、進学をあきらめてしまっている状況がある。そうした中、大学と産業界が連携し、進学希望者を支援することも含めた支援体制の拡充が望まれているという。