Shopify Japanは2月6日、2023年度の事業戦略について説明会を開催した。
同社が提供するEC基盤「Shopify」は、金融やサプライチェーン、アドテック(広告技術)などの小売りに必要なソリューションを網羅している点や、あらゆる規模の事業者に対応している点を特徴とする。
Shopify Japan カントリーマネージャーの太原真氏
同基盤について、カントリーマネージャーの太原真氏は「創業してから大手ブランドになるまでの成長を支えることができる。これにより、企業は規模が拡大しても顧客データを移行する必要がなく、ユーザーも再登録しなくてよい。企業はプラットフォームを変更する必要がない分、サービスの開発や顧客エンゲージメントの強化に集中できる」とアピールした。
Shopify Japanは2017年に設立。同社の2017~2021年度の年平均成長率(CAGR)は、同基盤を利用する事業者数が120%以上、流通取引総額(GMV)が170%以上だとしている。
Shopify Japan シニア セールスリードの伊田聡輔氏
2023年度の事業戦略について、シニア セールスリードの伊田聡輔氏は(1)大手ブランドやエンタープライズ規模の企業向けビジネスの体制づくりと強化、(2)国内外部事業者との連携、(3)国内ビジネス強化に向けた投資――を挙げる。
(1)では、大手ブランド向けプラン「Shopify Plus」を本格展開する。小規模ブランド向けプラン「ベーシック」の利用料金は月額33ドルなのに対し、Shopify Plusは月額2000ドル以上。同プランでは、Shopify Japanの担当者が越境EC、外部のIDシステムとの複雑な連携、チェックアウト(決済)システムのカスタマイズなどに対応する。現在、食品企業の味の素、アパレル企業のウィゴー、スープ専門小売企業のスープストックトーキョーなどが同プランを利用している。
また、コンポーザブルスタック「Commerce Components by Shopify」の国内提供に向けた体制づくりも進める。2023年1月に発表された同サービスでは、Shopifyの機能を自由に組み合わせたり、既存のシステムとAPI連携させたりできる。大手ブランドの場合、全ての機能は必要としておらず、「商品と注文に関するデータベースだけ利用したい」といったニーズがあるという。利用料は、コンピューティングリソースの利用状況に応じて都度支払う形をとる。Shopify Japanは同サービスの国内提供に向けて、自社エンジニアの拡充やパートナー企業の育成に注力するとしている。
(2)では、既に大きな成果が出ているという。EC基盤を提供する企業は「配送」「決済」を担う企業との連携が必要となる。Shopify Japanは2022年10月、日本郵便・三井物産と連携して配送サービス「+ Shipping」の提供を開始。ECでは配送距離によって送料は異なるケースが多いが、同サービスにより顧客企業は全国一律で商品を送ることができる。決済分野では、2021年にGMOペイメントゲートウェイと連携し、クレジットカード/コンビニエンスストア決済サービス「Partner Payment Platform」をShopifyの顧客企業が利用できるようにした。
(3)では、マーケティングや営業など顧客と直接関わる役職の従業員を拡充し、日本語でのサービス提供やサポートを一層進める。「2022年度は、エンドツーエンドで日本語によるサービス提供やサポートが可能になった。このことはわれわれのようなグローバル企業にとって一つのベンチマークである」と伊田氏は手応えを述べた。