「ディスクストレージはもう要らない」--ピュア・ストレージ、エコと経済性を備えたオールフラッシュ新製品

石田仁志

2023-03-17 15:00

 ピュア・ストレージ・ジャパンは3月16日に記者説明会を開催し、同日発表したスケールアウト型オールフラッシュストレージ「FlashBlade」シリーズの新製品「FlashBlade//E」と、前年度の通期業績を含めた最新のビジネス状況について説明した。FlashBlade//Eは、非構造化データ向けにラインアップされた高コスト効率製品であり、同社がアピールしてきたオールフラッシュデータセンターのコンセプトを現実化するものとなっている。代表取締役社長の田中良幸氏は、「ディスクに勝るコスト効率を誇る製品が登場した。ディスクストレージはもういらない」と断言する。

ピュア・ストレージ・ジャパンの田中良幸氏
ピュア・ストレージ・ジャパンの田中良幸氏

 米Pure Storageは2023年度(2022年2月1日~2023年1月31日)にグローバルで27億5000億ドルの売上高を計上し、前年度比26%の成長を記録した。田中氏によると、同社は設立以来、「ずっと2桁成長を続けている」という。顧客数は1万1000社を超え、ネットプロモータースコア(NPS)は業界首位で80点台をずっと維持している。NPSの高得点については「サブスクリプションモデルである『Evergreen//Forever』という新世代のデータプラットフォームの在り方と、実際に製品を使った上で満足してもらえている証」とする。ストレージサブスクリプションサービスの年間経常収益(ARR)は、前年比30%増を記録している。

 さらに昨今同社が評価される理由として、田中氏は環境問題を挙げる。環境対策は早くから実現していたところに市場や顧客が重視するようになってきたと説明。「われわれのグリーンに対する貢献度が高く評価され、そこで採用されることが増えてきている。省エネ化に貢献できるというのも一つの特徴」とする。

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 またピュア・ストレージ・ジャパンは、この3月14日で日本法人として設立10年を迎えた。田中氏は日本でのビジネスについて、「この10年で強固な顧客基盤を築けた。引き続き堅調な伸びを示している」と評価する。市場の傾向としては、「DXや企業にとって最も重要なデータをいかに柔軟に使えるかについて、真剣に評価するようになっている」との見方を示す。製品の導入実績については、全方位のインダストリーをカバーするようになり、バランスよく採用が広がっているとのこと。

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 ただし日本市場におけるストレージ活用の特徴として、購入するユーザー側と販売するベンダー側のいずれも安さを求める傾向があり、他国と比べてまだハードディスク主体の製品利用が多いという。その状況に対して、今回発表したFlashBlade//Eがフラッシュストレージの普及に大きな役割を果たすと、アジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジストの岩本知博氏は説明する。

ピュア・ストレージ・ジャパンの岩本知博氏
ピュア・ストレージ・ジャパンの岩本知博氏

 同社のオールフラッシュストレージ製品は、エンタープライズシステム基盤での活用を想定した、データベースや仮想マシン(VM)、仮想デスクトップ(VDI)向けのアレイ型「FlashArray」シリーズと、非構造化データ管理/オブジェクトストレージ用途で、データ分析や人工知能/機械学習(AI/ML)、最新のアプリケーションに適したブレード型「FlashBlade」シリーズを用意している。既にリリースされている「FlashBlade//S」は「オブジェクトストレージとしてスピードの速い唯一無二の製品」(岩本氏)という性能面での特徴を有する中で、FlashBlade//Eはギガバイト(GB)当たりの単価に特化した容量重視の位置付けであり、今回のリリースによってアレイ型からブレード型、ハイエンドからローエンドまで製品種別が整った形となっている。

 FlashArrayでカバーするエンタープライズ領域では、重複排除や圧縮、設置面積の削減というコスト削減のアプローチや大容量で高密度の製品を用意することで、オールフラッシュのメリットが訴求できたとする。同様にオブジェクトストレージの領域でも、FlashBlade//Eで制御用と拡張用に筐体を分ける仕様にすることで、「導入コストがディスクと同じレベル、GB単価当たりのコストが20セント(約26円)という低コストを実現」(岩本氏)した。そのため、現在性能がそれほど求められずコストメリットを優先してハードディスクドライブ(HDD)を使っているオブジェクトストレージの領域にも、オールフラッシュ製品を活用できるようになり、同社が推進するディスクレスのオールフラッシュデータセンター構想が現実的な話となる。

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 オールフラッシュを活用すべき根拠として岩本氏は、環境対策と今後のデータ量の増大という2つの問題を挙げる。企業が扱う非構造化データの量は2030年までに10倍になるといわれているが、現在のディスクベースのストレージでは、このデータ量の増加には対応できないという。フラッシュストレージの高密度化が進み、1本当たりのディスクサイズもフラッシュの方が大きく、消費電力にも差が出る。FlashBlade//Eでは、ディスクストレージに比べて消費電力と設置面積を5分の1に削減できるとする。

 「直近では、ストレージシステムを提案する際のキーワードがTCO(総所有コスト)からESG(環境・社会・統制)に変わってきている。ディスクストレージには消費電力やラックスペースという問題がある上に、HDDは壊れやすいし、SAS(Serial Attached SCSI)のディスクモジュールをメーカーがいつまで販売するかも考慮する必要がある。環境配慮に対するプレッシャーが高まる中、HDDを使うのはナンセンス。価格が同じであれば、オールフラッシュの方が良い」と岩本氏は説明する。

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 また、FlashBlade//Sはブレードがスケールアウトしていく構成だが、FlashBlade//Eは制御筐体がディスクを入れる複数の拡張筐体を管理するというモジュール型の構成となっているため、筐体内のフラッシュモジュールを入れ替えて数年後に大容量化/高性能化したSSDを使えるというメリットもあり、長期的な運用コストも抑えることができる。

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 FlashBlade//Eの最小構成は2台からで、最小容量は4ペタバイト(PB)からとなっている。製品の一般提供は、2023年4月末を予定。ストレージ・アズ・ア・サービスによるサブスクリプション型の提供も予定されている。

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