1対1のチャットで仮想現実(VR)/拡張現実(AR)ヘッドセットの装着を避ける人が大半、という現状の中でも、Googleの「Project Starline」は、企業がZoomで会議を行う現状と、ホログラム映像が空間に浮かぶ未来の間を結ぶ、楽しいコミュニケーションツールという構想のもとで開発が進められている。この専用メガネ不要の3D技術は、筆者が2022年10月にデモを試した 当初は、部屋1つ分のスペースを要する設計だった。しかし、米国時間5月10日の開発者会議Google I/Oで公開された最新の試作品は、大型テレビのサイズにまで小型化が進んでいた。
提供:Google
Googleの公式ブログによると、新しい試作品はすでに、SalesforceやT-Mobile、WeWorkの試用グループでテスト中だという。その目標は、このシステムを小型化し、その使用体験を「より従来型のビデオ会議システム」に近づけることだ。
Starlineは、かなり前にGoogleのVRプラットフォーム「Daydream」の構築に関わった同社のチームメンバーの一部が手がけるプロジェクトで、驚くほど説得力があり、時に薄気味悪いほどリアルな等身大の人物と会話ができるビデオチャットだ。2022年秋に筆者がStarlineを試した時には、真向かいに実際に座っている相手と話しているような臨場感を得られた。相手は現実世界の人間と同じような大きさに見え、ずらりと並んだカメラと深度センシング機器により、リアルに感じられるアイコンタクトができた。これはタブレットやスマートフォン、ノートPC越しに会話する、通常の家庭レベルのビデオチャットでは実現できないであろうレベルに達していた。
今回発表された新たなデザインでは、機材はデスクのそばに設置するよう作られており、会話をしていると、向かい側に座っている3D映像の人物は、本当に机の反対側に座っているように見える。2022年秋に初めて試したStarlineのデモの時から、このチャットには多少親密な雰囲気があり、これが遠くにいる人物とのウェブチャットではなく、誰かとコーヒーショップやオフィスでリアルなおしゃべりをしているような気分をさらに高めていた。
Googleはかねて、試用プログラムとして企業のオフィスにProject Starlineを設置する計画を持っていた。これは、この構想が他の事業にも拡大できるかを検証するためだ。今回の新たなデザインでは、前回筆者が試した時のカメラがずらりと並ぶ実験的な雰囲気と比べると、より現実的な製品に近く、オフィスに置いても違和感の少ない見た目になっている。
ビデオチャットのさらなる改善に取り組んでいる企業は、Googleだけではない。2023年内にリリースが予定されているLogitech(日本ではロジクール)の「Project Ghost 」は、専用メガネ不要の3Dを採用せず、より一般的なウェブカメラのハードウェアを利用して、Starlineと同様のテレプレゼンスを実現しようとするソリューションだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。