あらゆるものをクラウド上に置くのが一番だというのは、何年も前から言われていることだ。しかし現在、コンピューティングの世界は中央集権化されたサービスに背を向け、エンベデッドシステムやセンサー、キオスク、POS端末、モバイル機器、ウェアラブル製品、ロボット、IoTといったありとあらゆるエッジデバイスに目を向けつつあるようだ。エッジコンピューティングではローカル環境内でソフトウェアを実行し、データを生成/格納する必要がある。これはつまり、さまざまなロケーションでソフトウェアとデータ処理を実行するだけでなく、そのサポートも必要となることを意味している。ではテクノロジープロフェッショナルは、こうしたモノのエッジ化の流れにどのように備えるべきだろうか?
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この流れを見過ごすことはできない。TechRepublicのMegan Crouse記者も報じているように、Insight Enterprisesの依頼を受けて調査を実施したIDGと同社傘下のFoundryの推定によると、今や米国の平均的な企業ではコンピューティングリソースの35%をエッジ環境に格納しているという。また、エッジデバイスからの洞察をデータ分析に統合することを最優先事項として挙げている企業は36%と、前年の27%から増えている。エッジデバイスは、ローカル環境でデータ処理を実行できるためにレイテンシーを低く抑えられるとともに、データ移送の必要がないためセキュリティを強化できるというメリットがある。
エッジシステムが情報テクノロジーの大部分の処理を担うようになっていくという点については、業界の観測筋も同意している。PwCのパートナー兼コネクテッドソソリューション/IoT担当リーダーであるRob Mesirow氏は、「機械学習(ML)と、集積型の計算処理はますますエッジ側で実行されるようになってきている」と述べ、「ここでの考え方は、クラウド側に送信する必要があるイベントの大きさや数を減らそうというものだ。限られた数のデータストリーム上において、ストリーミング形式で実行できるような計算処理は、容易にエッジへと移行できる」と続けた。
また、InterSystemsの製品管理ディレクターであるJeff Fried氏はリアルタイムでの応答時間について、「単一のクラウド上に集約化されたコンピューティングクラスターでは規模の拡大を達成することが難しい」と述べ、「またリアルタイムやニアリアルタイムでのアナリティクスについては実現が可能であり、リアルタイムでの洞察については実現可能だと分かった時点で一気に普及する」と続けた。