UQコミュニケーションズは、インターネット接続サービス「UQ WiMAX」の基地局建設業務システムのクラウド化と災害復旧(DR)環境の構築に「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)を活用した。日本オラクルとアシストが6月27日に発表した。
同システムは、屋外/屋内の全基地局の建設、運用、撤去などの業務を一元管理しており、Linuxサーバーで構築・運用されていた。なお、WiMAXサービスの契約数は、2023年3月時点で3800万超となっている。
基地局建設業務システムは、OCIでのDR環境の構築、本番環境のクラウド化、可用性の強化という3段階を経て、約10カ月経過した現在、安定稼働を続けている。蓄積したナレッジを利用した作業の内製化により、構築・移行コストを削減できた。
またOCIの2拠点運用による事業継続体制が完成し、2拠点分の「Oracle Database」のエディションをアップグレードしてもなお、運用管理コストを25%削減できたという。
今回の取り組みは、基地局建設業務システムも含む基幹システムを運用していたサーバーセンターの終了に伴い、システム環境全体の見直しが進められたことがきっかけとなっている。見直しの主な課題として、障害時の復旧時間がかかり過ぎるなどの問題が挙げられており、今回のクラウドへの移行と環境構築が検討されることとなった。
OCIについては、性能面や移植性、コスト、セキュリティに加え、閉域網が利用でき、東京・大阪の国内複数リージョンの展開が可能であることなどが評価された。
クラウド移行と新規構築のプロセスでは、2020年5月にDR環境をOracle Cloudの東京リージョンに構築し、6月からDR環境構築時のスキルを生かし、本番環境のクラウド化と可用性の強化を2段階で実施した。
第1段階では、本番環境のクラウド化を進めた。2021年1月に大阪リージョンに本番環境の構築を始め、約5カ月でデータ移行までスムーズに完了した。同年6月に運用を開始している。なお、本番環境は大阪リージョン、DR環境は東京リージョンと2拠点を活用している。
第2段階では、可用性の強化を進めた。本番環境とDR環境のリアルタイムなデータ連携を実現するため「Oracle Data Guard」を採用し、その実装のため「Oracle Base Database Service」(BaseDB)の上位版に変更し、「Oracle Database 12c」から「Oracle Database 19c」へのアップグレードも併せて実施した。
BaseDBは、Oracle DatabaseのPaaSサービス。ユーザーはオンプレミスで利用していたOracle DatabaseをOCI上でそのまま利用できる。
DR環境構築と本番環境のクラウド移行までは、アシストの「Oracle Cloud環境構築支援サービス」を活用することにより短期間でスムーズに作業を進めることができた。
その後、2年にわたる構築経験により、UQコミュニケーションズにOCIに関する社内ナレッジが大きく蓄積された。可用性の強化段階では、アシストの伴走支援を得ながら内製化で実現、一連の構築作業は2022年8月にトラブルなく完了している。