本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、AWSジャパン 代表執行役員社長の長崎忠雄氏と、日本オラクル 執行役員 クラウド事業統括 公共・社会基盤営業統括の本多充氏の発言を紹介する。
「これから重要なのはとにかくスピーディーに動いて変化に挑戦し続けることだ」
(AWSジャパン 代表執行役員社長の長崎忠雄氏)
AWSジャパン 代表執行役員社長の長崎忠雄氏
アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)は4月20〜21日に年次カンファレンス「AWS Summit Tokyo 2023」を千葉・幕張メッセで開催した。長崎氏の冒頭の発言はその初日の基調講演で述べたものである。
基調講演全体の内容は速報記事をご覧いただくとして、ここでは筆者が印象深かった長崎氏の発言を紹介しよう。
「人手不足や労働生産性の低下にどう対処するか。持続可能な社会をどう構築していくか。こうした難題に立ち向かうには、従来のやり方では通用しないのではないか。どうすればよいか。これまで以上に迅速かつ柔軟に変化し、さまざまなリスクへの対応力を備えていく必要がある。むしろ、企業にとっては『変革のチャンス』だと考えるべきだ。AWSはこれまでそうした変革、さらにイノベーションに挑む世界中のお客さまを支援してきた」
長崎氏はまず現状認識についてこう語り、クラウドを活用してこれからどのようなアクションを起こし、何を実現していくのか、について次のように話した。
「ほぼ全てのワークロードがクラウド上で動くようになってきた中で、これから大事なのは、クラウドを活用して何を実現していくのかだ。事業環境が目まぐるしく変化する中にあって、高いコストパフォーマンスによる結果が求められている。これまでのビジネスの枠にとらわれない発想やアイデアが求められている。ただ、すぐに良い結果が出ないかもしれないし、新たなアイデアがなかなか起爆剤にならないかもしれない。それでも重要なのは、とにかくスピーディーに動いて変化に挑戦し続けることだ。そうすることで成功への道が開けてくるのではないか」
そして、長崎氏は「変革への一歩を踏み出そう」とのメッセージを掲げながら、次のように訴えた(写真1)。
写真1:「変革への一歩を踏み出そう」とのメッセージを掲げた(「AWS Summit Tokyo 2023」初日の基調講演より)
「今、さまざまな分野で変革の種が植えられ、進化を遂げようとしている。変化に挑戦し続けることで自ら変革しようとする力が備わるようになり、未来を大きく変えていける可能性があるのではないか。AWSはそうしたお客さまの変革への挑戦を支援していくために、他のどのクラウドサービスプロバイダーよりも幅広く、そしてそれぞれに深いサービスやプログラムを用意している。それらのサービスやプログラムもお客さまのお役に立てるように常に進化させている。クラウドはテクノロジーだが、それ以上の価値をお客さまに提供できると、私たちは信じている。AWSはお客さまの変革に向けた一歩を踏み出すパートナーとしてお役に立てると信じている。難しい時代だからこそ、過去にとらわれず、新しい未来へ向けた一歩を踏み出していこう」
AWSジャパンの年次カンファレンスは、同社が日本で開催し始めた時から取材してきたが、長崎氏のスピーチはサービスやプログラムの内容の説明もさることながら、これまで以上にユーザーへの熱いメッセージが込められていたように感じた。上記でそのエッセンスを取り上げたが、長年、同社社長を務めている同氏の強い思い入れがあったことも書き添えておきたい。