人工知能(AI)は最近、大きな脚光を浴びているが、AIによって職が奪われるのではないかという懸念の声も多く上がっている。しかし、Thomson Reutersが新たに公開したレポートによると、多くの職業的専門家らはAIの興隆に対して楽観的な見方をしているようだ。

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「Future of Professionals--How AI is the Catalyst for Transforming Every Aspect of Work」(職業的専門家らの未来--AIはいかに仕事のあらゆる側面を変革する触媒となっているのか)と題されたこのレポートには、北米と南米、英国で、法務、税務会計、リスク管理に従事する1200人以上の専門家を対象に、生成型AIに関する考えと経験について尋ねた調査の結果が記されている。
回答者の64%は、自らの専門的スキルが向こう5年間で「より重んじられる」ようになるだろうと答えている。この64%を構成する24%の回答者は、そういった状況が向こう18カ月の間に起こり、40%はそうした状況が18カ月後から5年後の間に起こると考えている。

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一方、自らのスキルに対する需要がAIによって消滅する可能性について、回答者の66%はそうした状況にはならないだろうと答えている。
これら回答者は、AIが高度な能力を有しているとはいえ、人間には対人スキルや、より高度な分析能力、既成概念にとらわれない発想力といった、AIが肩を並べられないような性質があるため、自らのスキルに対する要求が増加するだろうと感じているようだ。
AIに関して最も恐れている側面は何かという質問では、失業(19%)ではなく、正確さの低下(25%)が最多という結果になった。

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この恐れは、調査目的でチャットツールといったAIを用いているユーザーが、結果の不正確さに気付かず、額面通りに受け取ってしまうことで誤情報が拡散されるというところから生じている。
このレポートにおいて、ある回答者(弁護士)は「クライアント自身がAIを用いて独自に調査した場合、訴訟の問題について誤って理解してしまう可能性がある」と指摘している。
この恐れは、生成型AIツールを使用する際には人間による評価が必要である点とともに、AIモデルの正確さと信頼性を向上させるための追加の安全策が必要となる点を浮き彫りにしている。
また回答者の68%は、従来型の専門資格を持たない人たちの仕事が増えると予想しているという。

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さらに回答者の3分の2は、AIによって新たなキャリアパスが生み出されるだろうと考えている。レポートでは、AIツールによって法律関係の業務がより容易になることで、法務博士や公認会計士から、それらの資格を持たないパラリーガルなどへと業務がシフトすることを例に挙げている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。