日立ソリューションズは、ソフトウェア定義型自動車(SDV)に向けて欠かせない「モデルベース開発ソリューション」の「時系列データ自動テストソフトウェア」最新版の提供を1月11日に開始した。
SDVはソフトウェアによって機能がアップデートされることを前提に設計・開発された自動車のこと。モデルベース開発ソリューションは、車載ソフトウェアのシステム開発手法であるモデルベース開発のテスト工程を効率化する。
最新版では、実機相当テストのシミュレーションができるHILS(Hardware in the Loop Simulation)環境のテストにおいても利用できる。これにより時間の推移とともに変化する加速度、車速、トルクなどの時系列データの理想値とテスト結果を、相関係数と許容誤差を用いて自動比較できるようになった。
モデルベース開発ソリューションの「時系列データ自動テストソフトウェア」最新版の特徴
最新版を活用することにより、HILSや実車で検証済みの既存のテスト結果と、新たに開発するモデルのテスト結果を自動比較し、品質劣化の確認や対象モデルの継続的な改善が可能となる。また上流工程で同ソフトウェアを実行することで、フロントローディングにより設計工程における問題点やリスクを早期に摘出し、さらなる工数削減と品質向上を実現するという。
最新版の機能イメージ
これまで、時系列データ自動テストソフトウェアはMILS(Model In the Loop Simulation)環境や、SILS(Software in the Loop Simulation)環境において、熟練者が目視で確認していたテスト結果を既存のテスト結果と自動比較し、テスト工程の工数削減と品質向上を実現してきた。
MILSは関数単位や処理ブロック単位での検証(テスト)用に使われるシミュレーション環境。SILSは実機相当テストをPC上でシミュレーションする環境を指す。
開発工程では、まずMILS環境において制御開発(制御設計、モデリング、制御テスト)のシミュレーションやシステムの挙動を確認し、SILS環境ではソフトウェア開発(ソフトウェア設計、コーディング、単体テスト)の動作確認を行う。
その後、HILS環境(実機環境)で検証(結合テスト)を行うが、同環境はハードウェアとソフトウェアの統合による通信遅延などの問題も発見できるものの、コストがかかるため、従来上流工程のMILSやSILS環境のテストで下流工程のテストを減らすことが一般的だった。しかしSDVでは頻繁にソフトウェア変更が発生するため、HILS環境を含めたテスト効率化が求められていた。
最新版の価格は個別見積もりになる。