海外コメンタリー

AIプログラミングの「Time to Value」を追求する「GitHub Copilot」

Tiernan Ray (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2024-01-16 06:30

 生成型の人工知能(AI)がコーディングをどの程度支援できるのかについて熱い議論が交わされている。

GitHub Copilotの画面を表示したノートPC
提供:Maria Diaz/米ZDNET

 しかし、AIがコーダーと肩を並べられるかどうかについての議論は的外れだという意見もある。そういった意見の人々によると、自動化によるコーディング支援の本質は、プログラマーの仕事の性質を変えていくところにあるという。

 Microsoft傘下の開発者向けサイトであるGitHubの最高製品責任者(CPO)Inbal Shani氏は最近の米ZDNETとのインタビューで「大きな変革とは何か、つまり生成型AIの世界で何が起こったのかと尋ねられれば、私はAIの上にさらなる抽象レイヤーが作り出されたことだと答えるだろう」と述べた。

 この抽象レイヤーは要するに自然言語のレイヤーであり、当初はコード補完のためだけに用いられていた。同氏は「これは、われわれが目にしてきた基本的なレイヤーだ」と述べた上で、抽象レイヤーの力によってコード補完以外のさまざまな用途でAIを使えるようになると主張した。

 GitHubは2022年6月に、コーディング支援ツールとしての「GitHub Copilot」を公開した。Shani氏によると、2023年はプログラミング分野におけるAIの「変革の年」になったという。Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏が2023年10月に発表したように、GitHub Copilotの有償ユーザー数は100万人を超えており、「GitHub Copilot for Business」を契約している組織の数は3万7000を超えている。

 Shani氏は、数百人の開発者がCopilotを使用しているAccentureといった大規模なCopilotユーザーを引き合いに出し、「ボイラープレートコードと呼ばれる、基盤の一部という理由だけで、開発者が好むと好まざるとにかかわらず記述しなければならない定型的な繰り返しコードの削減で大きな効果があったという」と述べた。

 Shani氏によると、AccentureではCopilotによって記述されたコードの88.5%が維持されているという。同氏は「つまり、Copilotが記述したコードは開発者の意向に合致しており、記述し直す必要がないと判断された、すなわち極めて正確なコードを開発者に提供できたことを意味している」と述べた。

 生産性を評価する指標の1つに、新たなコードがプロジェクトのメインソースにマージされた時点、つまり開発期限が到来した時までに完了していたプルリクエスト(PR)の数がある。AccentureではCopilotを用いた結果、この値が15%増加したという。さらに、「開発者らがビルド作業(コードを実行バイナリーに変換するタスク)へと進む傾向がより高まった」という。

 同氏は、「開発者らは時折、(ビルド作業の実行に)二の足を踏む」と述べ、「まだ自信がなく、もう一度テストする必要があると言う。しかしCopilotの使用によってある意味において、今まで以上に多くのコードを本番環境に配備するための自信が培われている」と続けた。

GitHubの最高製品責任者(CPO)Inbal Shani氏
GitHubの最高製品責任者(CPO)Inbal Shani氏
提供:GitHub

 こうしたちょっとした変化、つまりより多くのPRや、より多くのビルド、ボイラープレートコード記述の削減によって、開発者の日常に変化をもたらすような直接的かつ定量的なメリットが生み出される。

 同氏は「ビルドのペースを一貫性あるやり方で加速できれば、ビルドの待ち時間が低減される結果、開発者はアーキテクチャーといった物事に力を入れるためにより多くの時間を費やせるようになる」と述べた。

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