ドイツに拠点を置き、機械翻訳サービス「DeepL翻訳」を提供するDeepLは現地時間1月22日、「ローカライゼーションと翻訳の状況 2023/2024 現状、課題、そして今後の展望について」調査の結果を発表した。
同調査は、DeepLとRegina Corso Consultingが共同でフランス、ドイツ、日本、米国で実施。対象は、従業員100人以上を持つ企業で翻訳とローカライゼーションに携わり、ディレクタークラスの役職を持つマーケティング担当者。「各社マーケティング担当者の翻訳やローカライゼーションに対する取り組みを理解する」「ワークフローにおいて、機械翻訳やAI搭載のライティングツールを使用しているか把握する」「翻訳やローカライゼーションの工程において高頻度で直面する課題を把握する」ことを目的とした。
企業が国際的な市場で成功し成長するには、多言語のコンテンツが必要とDeepLは述べ、事業のグローバル展開にローカライゼーションが欠かせないのはそのためとする。調査では、ローカライゼーションへの取り組みからプラスの投資収益率(ROI)を得たと96%が回答し、ROIが3倍以上だったとの回答は全体の65%に上った。
この数字は、ローカライゼーションに資源を割くべきか迷っている企業にとって、ローカライゼーションへの投資が有効なことを示す説得力のある判断材料となるはずと同社は指摘する。
コンテンツの作成におけるAIの役割は過去数カ月で拡大している。AIツールの台頭は、ローカライゼーションプロセスに変化をもたらしており、目の離せない動きと同社は語る。AI搭載のライティングツールは77%が使用しており、機械翻訳にいたっては98%が使用していることが分かった。
AIツールの使用は一過性のものではなく、新しい標準としてこれからも継続すると同社は述べ、この変化に対応し遅れた企業は、ローカライゼーションにAIツールを既に組み込んでいる企業と比較して遅れを取る恐れがあると続ける。
多くのマーケティング担当者は、ローカライゼーションへの投資が時間と労力に見合うものであるか疑問に思っているという。新規および既存のコンテンツをローカライズすることのメリットとして、顧客エンゲージメントの向上が上位に挙げられた。75%がローカライズされたコンテンツは顧客エンゲージメントを大幅に向上させると回答した。
機械翻訳を補完するために人手によるチェックを導入しているとの回答は99%に上った。質の高いローカライゼーションには、技術と人のそれぞれの強みを組み合わせた、バランスの取れたアプローチが必要だということが明らかになった。
機械翻訳の懸念事項としては、82%が業界用語の翻訳精度を挙げた。業界特有の専門用語については、独自の機械翻訳モデルのトレーニング、または用語集の機能が付いた機械翻訳の検討が必要ということが分かったとDeepLはコメントする。